新・日本現代詩文庫117
『新編 石川逸子詩集』
解説/小松弘愛・佐川亜紀

 むろん、原発の恐怖だけではない。戦前回帰の様相を見せている日本である。変貌する国家は私たちに何をもたらすことになるか。その未来図に石川さんの数々の詩がオーバーラップしてくる。「我々は歴史から、我々は歴史から学んでいない、ということを学ぶ」(ヘーゲル)という言葉も思い出されて、である。
(小松弘愛・解説より)
ISBN978-4-8120-2155-2
定価 本体1400円+税
発行日 2014年8月30日

新・日本現代詩文庫119『河井洋詩集』
解説/古賀博文・永井ますみ

 河井詩が広く誇って良いものがある。それは、自分が見聞きし、経験した事象をどうしたら普遍性を付加しながら表現できるのか? 日本各地に上代からある故事や伝承などを、どう処理すれば現代にフィットした形で蘇らせることができるのか? その事象に関連して表記したいことが山ほどある場合、どんなフォーマットを使えばちゃんと射止めることができるのか? そんな問いに対する一つの答えがここにある。
(古賀博文・解説より)

ISBN978-4-8120-2166-8
定価 本体1400円+税
発行日 2014年9月15日

新・日本現代詩文庫120『戸井みちお詩集』
解説/高田太郎・野澤俊雄

 戸井さんの詩の世界は特定なイデオロギーによるものでなく、日常茶飯事の千変万化を特異な語りで描き出しており、読む人にとっても興趣が尽きない。しかも大仰な詩論をかざすことなく、〈詩は怠け者の文学である〉とうそぶく著者に本物の詩人の正体を見るような気がして私はますます尊敬の念を強くしている。
(高田太郎・解説より)

ISBN978-4-8120-2169-9
定価 本体1400円+税
発行日 2014年9月21日

詩集『侏儒のポエジ・1』
福田周司/著

私は
語呂の淡いリズム感に
それを乗せ
大事にプリントしては
制作に勤しんでいる。

それもまた、
生きて在ることの
ささやかな喜び――

ISBN978-4-8120-2167-5
定価 本体1500円+税
発行日 2014年9月15日

現代詩の新鋭32 詩集『る り ら ら ら』
滝川ユリア/著

恋する体は こんなに綺麗
すべてはきっとうまくいく
わたしはきっとうまくいく
わたしは君を る り ら ら ら

ISBN978-4-8120-2158-3
定価 本体1800円+税
発行日 2014年10月20日

詩集『沸点』
沢村俊輔/著

祈っています
生にあふれた星が肉を供え祝詞をあげている
祈らねば生きてはゆけない
自分を愛しくおもう心が祈らせているのです

ISBN978-4-8120-2178-1
定価 本体2000円+税
発行日 2014年10月20日

詩集『石の言葉』
中原道夫/著

「文明とは港のない航海である」と言ったトインビーの言葉は
古語になってしまったのであろうか。

あの日、船は海へではなく、陸地に向かって走った。
だから私たちは、いま、多くの虚無を積み重ねてきた
石の言葉に耳を傾けなければならない。

ISBN978-4-8120-2172-9
定価 本体2500円+税
発行日 2014年10月8日

詩集『パリンプセスト』
草野理恵子/著

一枚の絵の下に別の作品が塗り込められたパリンプセスト。私たちの世界も日常の表皮をめくると、もう一つの風景が隠されているのかもしれない。恐怖から解放されて再び言葉を手にしたとき、恩寵のように溢れ出し花開いた、喪失と断念に満ちた美しく儚い物語。

ISBN978-4-8120-2163-7
定価 本体2000円+税
発行日 2014年9月30日

詩集『火の言葉』
柴崎 聰/著

言葉はいずれ
煉獄の炎に浄化されて
どのような香りを天に届けるのか

詩人は 他者の死に臨んで
おのれの死に 真剣な思いをめぐらす
日常と非日常を裏切る深淵が
薄闇の中にほの見えてくる

言葉に幽閉されてきた意味が
火のように燃え上がるのを
詩人はやがて 驚きをもって
目の当たりにすることになるだろう

ISBN978-4-8120-2168-2
定価 本体1400円+税
発行日 2014年10月5日

詩集『時を歩く人』
おぎぜんた/著

それにしても
どうやったら
あたしの落とした時は
戻ってくるのかねえ。
誰か教えて
くれないかねえ。
方程式でも
解けないのかも
しれないねえ、
人が時を落とした
理由なんて云うのは
ねえ、
あははははは。

ISBN978-4-8120-2170-5
定価 本体2000円+税
発行日 2014年9月30日

詩集『ロスタイム』
門田照子/著

夫を喪ってから四年。一人暮らしがこんなに多忙だったなんて!
これからは楽しいロスタイム。ゆっくり慌てず生きてゆこうよ。

ISBN978-4-8120-2153-8
定価 本体2000円+税
発行日 2014年10月4日

詩集『ざくろと葡萄』
柳生じゅん子/著

手をのばせば
届く高さに
ぶら下がってくる
豊饒な
こ と ば

ISBN978-4-8120-2174-3
定価 本体2000円+税
発行日 2014年10月1日

詩集『草に坐る』
山本楡美子/著

野は森になる 雨が降る 野よ 記憶以上の暮らしをしてください
たとえ汗にまみれに汚れても 根腐れが不安でも 身分以上に陽を浴びて
緑を織り 葉を刻み なお陽を浴びて緑を織ってください

ISBN978-4-8120-2177-4
定価 本体2500円+税
発行日 2014年9月30日

詩集『夢幻現間』
佐竹重生/著

わたしは
生かされているのですか
ごめんです

わたしは生きるのです

ISBN978-4-8120-2180-4
定価 本体2000円+税
発行日 2014年10月20日

詩集『嵐が丘より』
水崎野里子/著

北の国から帰った
おとことの
共棲生活を始めて
1年余り経った。
おとこは
嵐が丘に住んでいた。

ISBN978-4-8120-2190-3
定価 本体2000円+税
発行日 2014年11月10日