日本海の荒波。 しんしんと降り積もる、牡丹雪。 大晦日、新潟県直江津。 市街地を離れた錆びれた旅館の軒先には、 黒塗りの車が…。
北関東各県より、歴戦の任侠たちが、 毎年恒例、年忘れの 大ポーカー大会に集う―。
席を並べるのは、高崎の雄『虎吉』、宇都宮より紅 一点の『雀蓮』、水戸からは新進気鋭の『昇り龍』。 今回病欠の前橋の豪傑『亀次郎』に代わって出 席の新参者、取手の『鶴』。彼等に買収されて会の 進行役を務める、旅館の主『半兵衛』。
平和なこの町の年の瀬にあっては、警察の警戒な ど皆無。
北関東同盟が各々のシマを離れ、羽目外しの大勝 負に訪れるには、格好の穴場だという訳だ―。

任侠同士の腹の探り合い。顔色を窺いつつ立ち廻 る、半兵衛。乱れ飛ぶ札束…。
例年通りの光景が展開される中、しかしこの年の 瀬には、ひとつの大きな間違いが…。
なんと、人のいい半兵衛は、一家心中をしそこなっ た夜逃げ家族の身寄りを引き受けていたの だ…!!しかも家族の亭主は、ギャンブルに身を滅ぼ した『太郎』。半兵衛の警告を破って部屋を飛び 出す、夜逃げ太郎。目の前には、任侠たちのギャン ブル場が―。
夜逃げ家族が、この期に及んで、ギャンブルに手を 出すぅ!?
荒れ狂う日本海。
北上する越前蟹。
錆びれた旅館の大晦日。賭場はいかにして、新年を 迎えるのか―。