2022年12月更新 


詩集『喪失と希望』
内藤俊宏/著

主イエスは復活され、
喪失という絶望の中から希望を産み出して下さった
 私が静岡県の清水の教会に牧師として赴任して参りましたとき、内藤師は、千葉の教会員で、障がい者伝道に携わっておられ、一九七二年に御夫妻が住んでおられた市営住宅の一室で第一回の障がい者集会が開かれました。私は清水で知り合った、中年の障がい者の方をお連れしてその集会に出席しました。この障がい者集会は五十年経った今も、毎年続けられています。(道下常弘)
ISBN978-4-8120-2711-0
定価 本体2000円+税
発行日 2022年9月30日


[新]詩論・エッセイ文庫19『スクリーン』
堀内みちこ/著

映画監督堀内真直を父にもつ著者は詩人になった。自らが育った特別な環境と華やかなりし頃の映画界、惜しまれつつ亡くなった父のこと、映画人としての家を切り盛りし、家庭と両立させた母のこと、早逝した愛すべき弟のことなど、堀内家の二十余年の歴史を、ユーモアと哀惜を交えた軽妙な筆捌きで、追悼の意をも込めつつ綴った感動のエッセイ集。
ISBN978-4-8120-2693-9
定価 本体1400円+税
発行日 2022年10月7日


[新]詩論・エッセイ文庫21『花と非日常』
橋本由紀子/著

橋本由紀子にとって花も詩も人間も、ひとつの美意識の中で融合、激しく躍動する。人間感情の言語的転写、事物を底の底まで掘削する透視力で、日常と非日常のあわいを切り取る、優美にして知的なエッセイ集。
(中村不二夫)
ISBN978-4-8120-2703-5
定価 本体1400円+税
発行日 2022年11月30日


新・日本現代詩文庫162『重光はるみ詩集』
重光はるみ/著

 彼女は岡山大学を出て長く教職にあった。子供らに慕われていたに違いない。姑の介護の要もあって少々早く退職している。ライフワークと決めた道を中断するのはなみ大抵の決心ではなかったろう。退職前に郷土の詩人永瀬清子氏の講演を職場で聞いて、詩を退職後の道に決めたと言う。もちろん氏の詩とは異なるけれども、きっかけが永瀬氏であれば、第二の人生に示唆を与えたに相違ない。
(井奥行彦・解説より)
ISBN978-4-8120-2725-7
定価 本体1400円+税
発行日 2022年10月21日


[新]詩論・エッセイ文庫23『詩を巡るノート』
林嗣夫/著

詩とは何か? それは「感動の表現」である。人はそれを読んで「いま、ここ」のこととして受けとめる。著者は山尾三省、石川逸子、西岡寿美子、棹見拓史、桃谷容子、猪野睦、長尾軫らの作品を通して、自らの詩への思いを展開する。先人へのオマージュと、詩への思いに満ちた最新評論集。
ISBN978-4-8120-2724-0
定価 本体1400円+税
発行日 2022年11月10日


詩集『虎落笛』
香野広一/著

 この詩集に樹木に拘わる作品が多いのは、作者が、樹木の神秘的な魅力と、その力強い生命力に自分のエスプリを重ねているからであろう。けれど、それはたんなる追憶や感傷ではない。激しくゆれ動き、推移していく時代を、作者は樹木をとおして書いているのだ。
 この詩集を翻く読者も、きっと「なるほど」と頷いてくれるだろう。
(中原道夫)
ISBN978-4-8120-2706-6
定価 本体2000円+税
発行日 2022年11月20日


詩集『にがよもぎ』
富田和夫/著

むかし 地球は まるく穏かな顔立ち
いま 苦境にひしがれた しかめっつら
なりふり構わず 化粧直しせねば
ISBN978-4-8120-2722-6
定価 本体2000円+税
発行日 2022年11月15日


詩集『胎内距離』
頼圭二郎/著

ゆるぎのない生など あろうはずもないのだが
私の生は完結しない闇の深さに 行き暮れている
いくつもの生が折り重なり
舞いどよめく精霊のように 天空に咲く呼気の花を見た
「天梯への距離」より
ISBN978-4-8120-2707-3
定価 本体2000円+税
発行日 2022年10月28日


詩集『初めあなたはわたしの先に立ち』
花潜幸/著

さようなら、
水に映る青空よ 星になる前に深く眠りなさい。
そしてあの野葡萄の言葉たちを 花虫の騒ぎが絶えぬ間に
夕陽で燃やしましょう。
「夏の句読点」より
ISBN978-4-8120-2692-2
定価 本体2000円+税
発行日 2022年9月30日


詩集『東京猫』
花山徳康/著

人の匂いが染みついた猫 絨毯みたいな猫
死んでしまった猫 胴長の猫
ぺたぺた触られ雑巾でふかれる商売の猫
ねずみに好かれる猫
宇宙に溶ける猫
ISBN978-4-8120-2729-5
定価 本体2000円+税
発行日 2022年11月10日


詩集『記憶の杜』
後藤光治/著

海が光っている
長い堤防が 波止場から突き出ている
泳ぐ子どもたちの賑やかな声や
底抜けに明るい漁師の怒号がする
先端に 少年が一人佇んで
物問いたげに こちらを見返している
ISBN978-4-8120-2730-1
定価 本体2000円+税
発行日 2022年11月20日


[新]詩論・エッセイ文庫21『詩から遠く離れて』
愛敬浩一/著

この本の中で作者である愛敬浩一は、多種の文学分野における様々な問題を、自分の生活と行動に惹きつける力が弱かった、というか現在の世の中に持ち帰って考える作業に、手ぬるいものが多かった、と感じ取っている部分を、「ぶらぶらとしながら書き留めた雑感文で結構!」これならどうか! と提示している。そのことに、わたしは、共感する。(石毛拓郎)
ISBN978-4-8120-2727-1
定価 本体1400円+税
発行日 2022年11月7日


詩集『風の唄』
齋藤柳一郎/著

それが「空」だと名付けられぬ遠い昔
僕たちは心一つで眺めていた
果たしてその時
心は群青であったか
何よりも広く澄み切っていたが
それが「風」だと感じられぬ遠い昔
僕たちは心一つで吹かれていた
果たしてその時
心は透き通っていたか
何よりも純に舞うことは出来たか
「そのままの姿で」より
ISBN978-4-8120-2708-0
定価 本体2000円+税
発行日 2022年9月1日


[新]詩論・エッセイ文庫22『詩学入門』
花潜幸/著

「詩を学ぶ」とはどういうことか……。「詩と思想」誌に連載された近代詩人等の解読や考察など、詩作のヒントに溢れた十章に、新たに序章と終章が加えられた。著者自身の体験と思索を中心に、生きてであうもの全てが「詩」であるという想いが込められた「詩学入門」の書、それはまた実践的で馴染み易い「詩学入門」の試みの書でもある!
ISBN978-4-8120-2717-2
定価 本体1400円+税
発行日 2022年10月10日


詩集『二月のトレランス』
篠崎フクシ/著

どうせなら、おれをやれよ――
〈ひとすじの傷〉からの明日は我が身のスイッチ
〈東京にふるゆき、紙幣〉のなまなましさ、にあり
「天文百景」転写からの
染め、そめられるスパイラルがみせる第二詩集
(原田道子)
ISBN978-4-8120-2702-8
定価 本体2000円+税
発行日 2022年9月30日


新・日本現代詩文庫161『入谷寿一詩集』
入谷寿一/著

 過酷な北海道の原野に育ち、厳しい現実に対峙して生きた入谷の眼は、やがて、「国いっぱいの黄色い歴史」に繋がり、鋭い「文明批評」になっていく。けれど、それは観念やイデオロギーから生まれたものではない。すべて過酷な現実、入谷自身の生活体験から生まれた「声」である。私は、その声、その叫びこそが、「詩」であると思っている。
(中原道夫・解説より)
ISBN978-4-8120-2715-8
定価 本体1400円+税
発行日 2022年10月10日


詩集『五月の展望台から』
田中裕子/著

光はかならずひとりでやってきたから
はじまりだと よくわかった
拒まれているようで
包まれていた
ISBN978-4-8120-2716-5
定価 本体2000円+税
発行日 2022年10月22日


詩集『神さまのノート』
苗村吉昭/著

そんな君たちを愛らしく見ていた目もあった
君が必要なときには
いつでも過去の君を呼んでくれ
詩を書く人は、自らの人生経験を振り返り、その人生を通じて得た感動体験を他者に手渡せるようにするために、感動を盛るための詩という器を作る職人である、と苗村吉昭はかつて「詩と思想」巻頭言で書いた。苗村があちこちで手渡してきた日々の小さな感動が、7年ぶりの新詩集に集結する。
ISBN978-4-8120-2699-1
定価 本体2000円+税
発行日 2022年10月1日


詩集『梯子』
木下裕也/著

聞こえるもの、聞こえないもの。
触れ得るもの、触れ得ないもの。
ひと粒ひと粒はどれも人間の美しさや願いや、
人間の負うべき責任がそのまま固まり、
そしてほどけたもの。
ISBN978-4-8120-2721-9
定価 本体1600円+税
発行日 2022年10月20日


詩集『天使の梯子』
大西秀隆/著

 世界が混迷の度を深め、生存環境が激変する中で精神的な豊かさが問われ、生きる糧が求められる時代になりました。このような状況の中で、大西さんの純真無垢な詩の世界を味わっていただき、現代に生きる意味や、人生の豊かさや幸せとは何なのか、ということをともに考える契機にしていただけたら嬉しく思います。(中久喜輝夫)
ISBN978-4-8120-2718-9
定価 本体2000円+税
発行日 2022年11月1日


『カイエ・アンティーム』
清水茂/著

清水茂は、詩の潮流や詩人の交りから退いた処で詩を書いてきた。そして生前から整えていた膨大な記録が残された。この『カイエ・アンティーム Cahier intime』は、日常の瑣末な記録、些事の忘備録の類ではなく、もっと文学的で心の機微にふれる内容が精選されている。「人には記憶してくれとは願わない、ただ自分は思い出を携えて行く」――清水は自らの没後について、本文の中でこう記している。しかし生前の姿を髣髴とさせるこの著作が残されていた。清水氏の詩作品を考える際にも、本書は何よりの贈りものであると思う。
(川中子義勝)
ISBN978-4-8120-2719-6
定価 本体3000円+税
発行日 2022年11月11日