2018年8月更新

新・日本現代詩文庫137『森田進詩集』
森田進/著

信仰詩が、生の暗澹たる実相や罪の奥深い現実を見つめてなお共感を導くのはその様な場合である。(略)なかでも「剣玉」は、記憶から呼び起こされる過去の喜悦と執着、また覆せぬ咎と呵責、その総てを現在の伴侶との共生に重ねて「十字架の贖罪」にむすび、祈りを導く。そのイメージの鮮やかさにおいて、森田氏の詩のなかで、抒情と造形が最も見事に統合された作品である。
(川中子義勝・解説より)

ISBN978-4-8120-2439-3
定価 本体1400円+税
発行日 2018年7月15日

『詩と思想詩人集2018』
詩と思想編集委員会/編

詩は個々の生活の中にあって、普通に読まれるべきであって、
特有の人の所有物などではない。
われわれが日常的に映画や音楽に感動するように、
詩にもそれに匹敵する秘めた力があるはずである。
いわば、このアンソロジーはそういう希望をもって世に送り出すものである。
どうか手に取ってじっくり中身に触れていただきたい。

ISBN978-4-8120-2442-3
定価 本体5000円+税
発行日 2018年8月31日

詩集『夜をためた窓』
安住幸子/著

みんな 見てください
みんな 見ないでください
グリーンのTシャツの隣で
揺れているのが 私の暗さです

ISBN978-4-8120-2432-4
定価 本体2000円+税
発行日 2018年7月30日

詩集『見えない百の物語』
二階堂晃子/著

「わたしが書くべき『地』は、原発災害で奪われたふるさとだ」と二階堂さんは本書後書きに記している。第一章の最後に「語り部たらん」と題された一篇が配されているのは、その言葉が、この詩集の出発点となった動機だからだろう。語り継いでいく姿勢を自らに希求し、なかなか目には映らない多くの物語を読者に感じてほしいと願う。
(川中子義勝・解説より)

ISBN978-4-8120-2443-0
定価 本体2000円+税
発行日 2018年7月30日

詩集『にわたずみ』
矢部公章/著

個の造影に映し出された曽祖父や祖父、そして父、故郷の原風景、この詩集は100年を生きた一族の叙事詩だ。詩人矢部公章は未来に吹く風に祈る。子や孫の世代に、生きとし生けるものたちへ、「つぎの100年も幸多かれ」と。
(中村不二夫)

ISBN978-4-8120-2448-5
定価 本体2000円+税
発行日 2018年8月1日

詩集『母の左手』
杉野紳江/著

お母さん
長年 ご苦労様でした
今は ただただ
笑顔で暮らす毎日であれと

ISBN978-4-8120-2440-9
定価 本体2000円+税
発行日 2018年8月15日

2018年6月更新

詩と思想新人賞叢書12 詩集『えみしのくにがたり』
及川俊哉/著

新しい指の先を行く 鳥のさえずりがあるだろう
広がる未開の草原が 昨日の風を織り 明日の光をつむぐ
柔らかな手のひらを 駆けていく 詩の目覚めがあるだろう
指紋に銀河を宿すとき 星は涼しく光るだろう
新鮮なる拳で 太古から未来へと 貫く棒を握ろうとする
新鋭詩人の渾身の詩集を 次から次へとめくるしかあるまい
(和合亮一)

ISBN978-4-8120-2416-4
定価 本体2000円+税
発行日 2018年2月20日

評論集『純粋文芸への誘い』
高井泉/著

純粋文芸とは、詩・小説・評論と言った文芸が、文字通り、純粋詩・純粋小説・純粋評論として執筆ないし構築された試みの謂いである。先人がどのように悪戦苦闘して、自己の文学を革新し創造して行ったかを識ることこそが、バトンを受け取り、自己の文学を構築して行こうとする者にとって必須の学ぶべき要件である。
ここに収録された論考は、その様ざまな作品を、新しい歴史的視点に立って採り上げ、解釈・分析した稀有な成果の集大成である。

ISBN978-4-8120-2422-5
定価 本体2500円+税
発行日 2018年4月10日

詩集『落ちかかるもの』
木下裕也/著

一枚の葉がふいに落下するように、生はつねに危機に晒されている。詩人は、この世が生の危うさでみたされていることを、そしてそれぞれの生が希望と絶望に揺れる秤であることを静かに描き出す。自身もまた、他者と死者を前に沈黙と言葉をはかる天秤となって。
(河津聖恵)

ISBN978-4-8120-2427-0
定価 本体1600円+税
発行日 2018年4月30日

詩集『人間らしい心を求めて』
真原継一/著

胸に手を当てた
平和な世界で有りたい
人々が健やかに歩いている姿を
心に描き
そのような詩の世界で遊びたい

ISBN978-4-8120-2428-7
定価 本体2000円+税
発行日 2018年4月30日

詩集『命の帆』
名古きよえ/著

戦時下の生活体験を下敷きに、娘から孫の世代へ、詩人はかけがえのない命の尊さをうたう。そこにあるのは、一族の系譜の中にあって、普通の暮らしが護られていることの深い意味であり、いわば市民による不戦の誓いである。(中村不二夫)

ISBN978-4-8120-2426-3
定価 本体2000円+税
-発行日 2018年5月15日

新・日本現代詩文庫136『原圭治詩集』
原圭治/著

孫たちは GAME BOYに夢中です
二人が覗き込む小さな画面で始まった
味方のパーティーがポイントを獲得してレベルアップし
悪の大魔王を倒す冒険に すっかり心が吸い取られて
詩集『水の世紀』の始めのほうに収録されている作品「冒険のしかた」の一連目が右の四行である。原さんの日常に電子が入り込んでいる情景がわかるだけでなく、この詩集の核を占める《水の世紀》にくくられた九作の作品のありようの源流として察しられる。
(市川宏三・解説より)

ISBN978-4-8120-2429-4
定価 本体1400円+税
発行日 2018年5月15日

詩集『香りの舟』
柴崎聰/著

香りは 時に 他者を宥める力を蓄え
時に馥郁たる舟となって天に向かう

香りは 時に 秘められた記憶となり
まざまざと過去を地上に呼び戻す

ISBN978-4-8120-2430-0
定価 本体1400円+税
発行日 2018年6月5日

詩集『古いアルバムから』
清水茂/著

慥かこの辺りに
何か大事な一枚があったはずだ、
誰かがいたはずだ。それなのに
その何かを、その誰かを見失って、
どの瞬間からか
空白になった部分を
充たすことができないでいる。

ISBN978-4-8120-2435-5
定価 本体2000円+税
発行日 2018年6月13日

『抒情詩と叙事詩』
広岡守穂/著

抒情詩としては幕末の漢詩から新体詩、口語自由詩を経て、童謡、民衆詩、戦後詩まで、叙事詩は浄瑠璃、歌舞伎から文楽、講談、浪花節までと、全く新しい角度から捉えなおした「詩」を、今日の人間がいとなむ社会現象の中に置き、その姿をさまざまな視点から考察した画期的な論考。

ISBN978-4-8120-2438-6
定価 本体1800円+税
発行日 2018年6月30日

詩集『ポスカスがくるよ』
濱本久子/著

私のなかには
母と二歳のままの女の子が棲んでいて
母子連れに出会うと吸い寄せられていく

ISBN978-4-8120-2431-7
定価 本体2000円+税
発行日 2018年6月17日

詩集『雪ほたる』
室井大和/著

靄が晴れた湖
白鳥一羽 餌を漁る
羽を痛めて
北に帰れなかった奴だ
ぼろろ ぼろろ
ぼろろん ろん
春は近い
私の岸辺に
雪ほたる

ISBN978-4-8120-2436-2
定価 本体2000円+税
発行日 2018年7月11日

詩詩集『いくつものドアを往き来して』
里見静江/著

この先は もう大きな夢は拾わない
夜が明ける その時
水仙の花 いち輪を愛でることができるように
水の音を聞いている

ISBN978-4-8120-2433-1
定価 本体2000円+税
発行日 2018年7月31日