2025年 5月 24日更新


新・日本現代詩文庫172
『新編 池田瑛子詩集』池田瑛子/著


 池田さんは詩集『母の家』の詩を書き終えたことで、愛する母との永訣のかなしみを癒すことができたのではないか。詩を書くということにも、また詩を読むということにも確かにそんな癒しの効用がある。
 詩集『母の家』を読んで、亡き母の幻影を喚起し、母の魂との邂逅を追体験し、雪深い北陸の街で、僕も安息の時間を海辺の詩人と共有することができた。(広部英一・解説より)

ISBN978-4-8120-2894-0
定価 本体1400円+税
発行日 2025年4月7日


詩集『ホワイト・アルバム』
西岡泉/著


幸せは温かい拳銃
ジョン・レノンの声が
空を掻き回していた
MRIの長いトンネルを抜けたら
私は十七歳の君になっていた
庭に出て
空の雲の手入れをした

ISBN978-4-8120-2891-9
定価 本体2000円+税
発行日 2025年4月20日

詩集『ダサいポップソング』
天ヶ谷麗/著


五感がバリケードする部屋の隅で、出鱈目に聖書を読んでは涙して、
祈りの手を手垢の壁に擦り付け、雨のように降る一方的な愛を乞い願い、
自愛の顕現、神秘的な光の磔を夢想し、夢想し、夢想し!
夢想する機械の夢を夢見ることを望むのか?
そうなのか? ぼくらは それを望むのか?

ISBN978-4-8120-2889-6
定価 本体2000円+税
発行日 2025年4月25日

歌集『やませ』
家坂利清/著


教会のステンドグラスが夕映えて祈れる君のすがた浮かび来
だしぬけに足音がして開ける戸なみだ溢れる君が立ちおり
老いの日はしずかに橋を渡るべし残された日をいとしみながら
待望の第五歌集

ISBN978-4-8120-2890-2
定価 本体1500円+税
発行日 2025年3月31日

詩集『もくようびがにげだした』
まだらめ三保/著


ナンセンスファンタジー『おひめさま』シリーズの作家。そして『きかんしゃトーマス』など多数の翻訳家である、まだらめ三保。
あなた自身、または子どもさんやお孫さんたちがお世話になってきたかもしれませんね。今度は大人になったあなたに、まだらめ三保が「詩」の形で物語ってくれます。ちょっと棘や毒があるかもしれません。胸の奥でうなずいたり、笑ったり……。大人になりきっていないあなたの心と素敵な友達になってくれそうですよ。まるで生きている言葉の魔術を思う存分楽しんでください。(秋亜綺羅)

ISBN978-4-8120-2876-6
定価 本体2000円+税
発行日 2025年4月15日

折り句集『記憶の砂時計』
雨宮汐里/著


き 「きみとの距離は肘一つぶんだよ」
よ よく分からないその言葉
り 立夏の熱が僕らを包む
魔術師が紡ぎだす言葉の波に煽られてみよう。
遠くまで流されていって、世界の果てを見物しよう。
けれど、くれぐれも溺れてしまわないようにね!

ISBN978-4-8120-2882-7
定価 本体2000円+税
発行日 2025年4月14日

詩集『キアゲハの帰還』
和田祐子/著


君の視る未来が 少しでも美しいものであるように
わたしはようやく 言葉を発することにしたんだ
脳下垂体腫瘍による顔面神経の圧迫、肝臓への転移、余命宣告、右目失明。次々と襲いかかる苦難に対して、和田祐子は詩という言葉の盾と出会い、一日一日を辛うじて生き延びていく。いずれこの世から消えていくとしても、伝えたい言葉、残しておきたい思い出がある。常に死の予感におびえながら、キアゲハのように美しく和田の詩は舞う。渾身の第一詩集。

ISBN978-4-8120-2886-5
定価 本体2000円+税
発行日 2025年4月26日

詩集『キャベツの外側の葉』
山本みち子/著


けさ おばあちゃんのたいた ごはんは
すこし こげた でも
そのおこげが また おいしいんだ

ISBN978-4-8120-2893-3
定価 本体2000円+税
発行日 2025年4月30日