2026年05月 18日更新



『平成詩史論』
平居謙/著


30年に及ぶ平成期の現代詩は、昭和詩を前景として、昼夜をおかず、清新な時空をさまよいつづけた。詩界前線の軌道、列島諸地域の動向と、野趣にみちた新世界を照らし、縦横に論じる『平成詩史論』は、数多くの名編と秀作が響きあうアンソロジーとしても精彩を放つ。
これからの現代詩の灯標となる大冊だ。
(荒川洋治)

ISBN978-4-8120-2914-5
定価 本体6500円+税
発行日 2026430

2026年05月 13日更新



詩集『いつか幸せの国で』
杉野紳江/著


どんどん 夫の物が 無くなっていく
でも見上げれば
空には 煌々とした満月

そうだよね
夫との思い出だけは くっきりと 心に残るよね
月が 頷いた
    満月や夫の足跡消える冬

ISBN978-4-8120-2931-2
定価 本体2000円+税
発行日 2026430



詩集『生まれた日の風が』
伊波希厘/著


公園で遊ぶだれかの声が窓の遠くに
こんなにもおだやかで
さびしい朝だから 泣いてもいい
透きとおってゆく春の周縁

ISBN978-4-8120-2940-4
定価 本体2000円+税
発行日 2026411



新・日本現代詩文庫173『宮内洋子詩集』
宮内洋子/著


 宮内洋子の詩は、多彩だ。自分の話だという気配で、そこから始めても、自分に執着しない。いつのまにか、どこか遠くへと自然に穂先が伸びていく。地域の歴史のこと、大きくおおう文明のことなど、多様な場面が登場するが、いつも自由自在で、あて先はひろい。誰が、いったいこの詩を受けとめるのかと思うほどに、限りがないように見える。それが魅力だ。
 一つずつ読んでいくと気づく。同じものがあまりない。今日は、この話だったのに、明日は、まったくちがうという空気になる。それが詩を書くことの、またこちらが読むことの楽しみになるのだと思う。
(荒川洋治・解説より)

ISBN978-4-8120-2936-7
定価 本体1400円+税
発行日 2026415

2026年04月 24日更新



詩集『先にいった君だから』
石井也子/著


影のない君は
戦いのない宙へ帰って行った
雨にぬれ
色の深まる紫陽花の闇
異界への入りぐちに立つ
もうひとりのわたしがいた

ISBN978-4-8120-2932-9
定価 本体2000円+税
発行日 2026年3月20日



詩集『さようなら…の風』
水野ひかる/著


漆黒の闇を
たくさんの星が
川のようにながれている
ぎざぎざの星の角が
ぶつかりながら
わたしの身体の闇を
とおりすぎてゆく
朝起きると
わたしの耳は石になっていた
しぃーんと 沈黙していた
がさがさも ごそごそも
びゅんびゅんもなくて
静寂の中に
ぽつんと置かれていた

ISBN978-4-8120-2934-3
定価 本体2000円+税
発行日 2026年4月30日



詩集『生きていること』
高橋次夫/著


容赦ない陽射しの熱気に
濃緑の葉群れは
抗うように沸騰している
零れてゆく
たしかに
何かが零れてゆく
耳のうしろを掠めて
〈おと〉のように気配が走ったのだ

ひとり居の部屋で

ISBN978-4-8120-2938-1
定価 本体2000円+税
発行日 2026年4月25日



詩集『いまだこぬいまだとして』
太田葉子/著


生きていた時はやっかいなやつだったが
こうして穴だらけのおだやかな顔をみていると
まあいいとこもあった気もするな
なにせつまらんことのみ言うやつやったが

ISBN978-4-8120-2937-4
定価 本体2000円+税
発行日 2026年4月15日



詩集『お母さんって呼んだなら』
森川芳州/著


人生は
多くの
悩みごとで溢れている
どんな辛いことが在っても
母は子供たちのために
頑張り通した
険しき山を越えられたのは
幼かった頃から
そんな母を
見てきたからなのだろう
みなぎる汗
踏ん張る汗
気高き汗
母の額には
いつも
汗が流れていて
光り輝いていた

ISBN978-4-8120-2933-6
定価 本体2000円+税
発行日 2026315

2026年03月 25日更新



詩集『ほおずき…母へ』
沢村俊輔/著


愛する者を見送った男が
ひとり ラジオ体操をする
大きく腕を振り上げ しっかりと膝を曲げ伸ばしする
全身を駆け巡る血流 その熱のなかに「あなた」がいる
涙をふいて 生きようとする者の
この世でもっとも美しいラジオ体操第一が
昭和の家族の情景を 映し出してやまない
(杉本真維子)

ISBN978-4-8120-2920-6
定価 本体2000円+税
発行日 202645

2026年1月 26日更新



集『夜より暗い』
鈴木清美/著


冬の渚の足跡は
乾いた風に
かき消されてしまった

波打ちぎわで拾った夕暮れを ひとつ
ポケットにしまったあの日から
ずいぶんと 長く 長く 歩いてきたけれど
ここに なにがあるのだろう

ISBN978-4-8120-2930-5
定価 本体2000円+税
発行日 2026年1月30日

2026年1月 15日更新



詩集『航跡』
田中佑季明/著


私は泣かない
私は悲しまない
私は寂しがらない
たとえ あなたが いなくても
何故なら
涙が枯れるほど 泣いたから
悲しみの淵を 数えきれないほど歩いたから
寂しさを 超越した世界を 知ったから

ISBN978-4-8120-2929-9
定価 本体2000円+税
発行日 2026年1月20日



詩集『約束の紙ひこうき』
名上敬子/著


表題の《紙ひこうき》は、詩篇「模様病み」にも描かれ、詩篇「空へ」では[少年の手から飛び立つ/紙ひこうき]と《少年》の文字がはっきりと刻まれています。名上さんにとって《少年》とは無限の可能性を持ち未来に飛び立つ生徒さんたちやお子様たちの象徴です。ほら、それぞれの手作りの、それぞれの未来を折り畳んだ《紙ひこうき》が、希望の青空に向かってまっすぐ飛んでいくのが見えるではありませんか。(中谷順子)

ISBN978-4-8120-2923-7
定価 本体2000円+税
発行日 2026年1月16日



詩集『流砂』
鳥飼丈夫/著


 沖へ
 白波立つ神へ
 光の海へ
争い 殺戮の日々に
憂いを強め
深層に黒い汁液を溜め
吐き出す空は虚空
わたつみの怒りたつ世界の姿

ISBN978-4-8120-2924-4
定価 本体2000円+税
発行日 2026年1月15日



[新]詩論・エッセイ文庫29『偏愛的 映画論』
工藤俊/著


偏愛する映画、敬愛する監督小津安二郎。幼少期からの映画鑑賞を綴る本書で、なぜ小津作品が世界で愛され続けているのか、溝口作品、成瀬作品の奥深さも述べながら、さらに映画と文化人のかかわりなど、戦後の邦画界の変遷、撮影手法のあれこれなど、映画のおもしろさが手にとるようにわかる一冊!

ISBN978-4-8120-2925-1
定価 本体1400円+税
発行日 2025年12月20日



詩集『記憶は無重力』
小林登茂子/著


食うことは 繋ぐこと
遺伝子 肉体 愛 記憶
重なり合った時間と空間 振り返れば
幸運の命の道筋が 偶然の様に流れていく

ISBN978-4-8120-2922-0
定価 本体2000円+税
発行日 2025年12月20日



エッセイ集『家族写真』
浜厚子/著


二年後に金婚式を迎える著者の、八年ぶりのエッセイ集第三弾、ついに完成。コロナ禍を乗り越え、思うように会うこともままならなかった家族の、それによってより深い絆を持つことができた喜びが、全編に渡って伝わってくる、これは稀有の記録といえよう。

ISBN978-4-8120-2916-9
定価 本体1500円+税
発行日 2025年11月10日