2021年8月更新 


『詩と思想詩人集2021』
詩と思想編集委員会/編著

1972年10月、詩人たちの出資で創刊された「詩と思想」は、詩人が詩を発掘し、編集する雑誌として命脈を保っている。
特定の詩的傾向や思想信条に偏らず、今年も481名の詩人が地域、世代を超越し、本アンソロジーに結集した。このコロナの時代に詩人は何を考え、何をどう表現したかを読者とともに共有していきたい。
ISBN978-4-8120-2641-0
定価 本体5000円+税
発行日 2021年8月31日


[新]詩論エッセイ文庫14『旅をした日』
外村文象/著

人は生きている間、ずっと旅をしている。その中で人と出会い、詩を書き、絵を描く。本書には詩人・外村文象が辿った旅のすべてがある。詩友との交流、スケッチ旅行に世界中を経巡った日々、そして高齢の今も続いている豊かな日常を余すところなく綴った、滋味豊かなエッセイ集。旅はいつまでも終わらない。
ISBN978-4-8120-2619-9
定価 本体1400円+税
発行日 2021年5月20日


詩集『五十年目の婚約指環』
和氣康之/著

なんとまあ嬉しくて
金魚のように回っている
このままずっと
回っていられたらいいなあ
「このままがいいなあ」より
ISBN978-4-8120-2639-7
定価 本体2000円+税
発行日 2021年7月30日


詩集
『ビオラ ソロリアプリセアーナのある庭』
方喰あい子/著

わたしの命を燃やしたい
若い日、心中に秘めた
子を生し 人の命をつなぐ
ふと、気づいたのだった
わたしは 生き物たちの 花木や草花の
命をつないでいる と
ISBN978-4-8120-2630-4
定価 本体2000円+税
発行日 2021年7月28日


詩集『ふたご座流星群の季節』
小林登茂子/著

―好きなことを させる―
二時間越しの自論を振り撒く男の
この究極のことば、これが小林さんの
舞台の板を踏みつづける源泉となった。
甘えの極みは 未踏の 詩の砂漠への旅立ちである。
透けて白髪となった角刈りの男 いまは
ふたご座の流星群となって 小林さんの生命に降り注いでいる。 ―高橋次夫―
ISBN978-4-8120-2632-8
定価 本体2000円+税
発行日 2021年8月21日


詩集『船に乗って』
内藤喜美子/著

内藤喜美子の詩は現実生活から一歩も身を退かず、言葉を紡ぐ。もう何十年もそうしてきたし、きっとそれは明日も明後日も変わらない。コロナ禍の中、最愛の夫の死。詩人は半分の命を背負って書く。涙を愛に替えることができるマジシャンなのだから。かつてネオ・リアリズムの祖、北川冬彦がその鋭い現実批評を絶賛した詩人の新詩集。  ―中村不二夫
ISBN978-4-8120-2628-1
定価 本体2000円+税
発行日 2021年7月8日

2021年7月更新 


『冬の蝉―坂井艶司と「満洲詩」の時代』
福冨健二/著

昭和初年代から10年代、激動の時代の満洲で、若き詩人たちはどのような夢や憧れ、思想をもって活動していたのか。著者の父でもある詩人坂井艶司の足跡をたどりながら、戦時色の深まってゆく時代の中の、若者たちの詩魂を多角的に鮮やかに描ききった渾身の評伝。
ISBN978-4-8120-2614-4
定価 本体2700円+税
発行日 2020年12月20日


『現代詩NOW Ⅰ』
中村不二夫/著

 かつての関東大震災時、こぞって作家、詩人は生死存亡の境を前に「何も書けない」、そんな無力感にとらわれたという。彼らは大震災を前に芸術は生活の過剰であるという見方を示したのである。私は自らの無力さ、非力さを覚え、そこからあえて出発していきたい。
ISBN978-4-8120-2616-8
定価 本体2500円+税
発行日 2021年5月31日


代表詩選『ひぐらし』
林嗣夫/著

現実と豊かな詩的言語の実験を繰り返しつつ、次々と新境地を切り拓いていった林嗣夫の、『むなしい仰角』から最新詩集『洗面器』まで十九冊余の詩集からの代表詩選。詩業五十余年の精髄を集大成。
圧巻の詩集『四万十川』全篇収録。
ISBN978-4-8120-2618-2
定価 本体2500円+税
発行日 2021年5月25日


詩集『両つの掌に』
清水茂/著

必要なことだけを語ってきたにしても
その痕跡は多過ぎるようにも思われた。
だが 目を瞑ってよく考えてみれば それも
いつからか 陽射しのなかで雪が舞っている。
掌の上で 大切なのは陽に燦く雪の塊、
それとも冷たさの感触か。融けた後にも
なお光を記憶している小さな水溜り……
ISBN978-4-8120-2612-0
定価 本体2000円+税
発行日 2021年1月16日


新・詩論エッセイ文庫13『詩学講義』
川中子義勝/著

想像力は日常から我々を「解放する」力である。詩人は自らの言葉を世界に投企し、新しい可能性を模索する。日常の世界から一旦は断たれ、なお日常の世界の中に生の可能性を開こうと志す。本書は信仰詩と古今の著名詩人とを対比させながら、世界と現実との出会いを新たな世界、より良い現実へと希求した刮目の「詩学」である。
ISBN978-4-8120-2609-0
定価 本体1400円+税
発行日 2021年2月28日


詩集『メー・ティはそれを好まない』
愛敬浩一/著

メー・ティは墨子である。墨子の影に隠れているのはブレヒトだった!
愛敬浩一の新詩集は、現代詩の「歳時戦記」か?〝転換〟が必要なのだ!
いま、〝詩のことば〟は、氾濫する情報言語の前で土下座しているのか。
その「静謐必死」への問いかけに、詩人は身を挺し、創作してきた作品の数々で、飴玉を嚙んだり、ときには舐めるように応えてきた。愛敬浩一の詩作は、塹壕の休息を想起させる。また、虚妄な愛や希望に直面するときの、心構えとしても読める。
詩の構想と実践が、現代社会から逃亡し、それらを蓄える必要を満たすこともなく、豊かな対話の自由へ、と拓かれないものであるなら、何の詩であろうか。―ーーー 石毛拓郎
ISBN978-4-8120-2620-5
定価 本体2000円+税
発行日 2021年5月19日


詩集『叫び』
重光はるみ/著

文は人なりというが、この詩集の、実直にして篤実な言葉からなる文体は、重光はるみそのものである。
なんと温和で、謙虚な、精妙な言葉遣いだろう。
彼女の言葉の源は、生まれ育った牛窓のご両親と嫁ぎ先の古道里の新しい人間関係から生まれたと思われるが、さらに遡って考えると、彼女の詩は、その土地を懸命に生き、無窮の天に帰った数限りない人々の残した言葉、言霊、遺言とでもいう他ないものから生まれたのだとしか言いようがない。 ― 以倉紘平
ISBN978-4-8120-2615-1
定価 本体2000円+税
発行日 2021年4月10日


詩集『しろい風の中で』
田中眞由美/著

もうすぐ日が暮れるというのに
後ろ姿も見せないものを
どうやって探したらいいのだろう
ISBN978-4-8120-2621-2
定価 本体2000円+税
発行日 2021年5月16日


新・日本現代詩文庫153『関口彰詩集』
関口彰/著

 入沢康夫は、「私にとっての『詩』」というエッセイの中で、「すぐれた詩作品は、表面に書かれた『ことがら』を超え、作者個人の思想や感懐さえも超えて、大きな『普遍性』にどこかで確実に繋がっている作品のことである」と、簡潔に語っている。
 関口彰の詩もまた、私性を突きぬけて、「大きな『普遍性』」を獲得すべく書かれてきたことはいうまでもない。かれの詩を味わうとは、畢竟、読者もまた自らの未踏の森への道へさまよい出るということなのである。本書が読みつづけられることによって、これからもなお〈生きなおし〉の風景は生成されつづけるだろう。(松本邦吉・解説より)
ISBN978-4-8120-2617-5
定価 本体1400円+税
発行日 2021年5月10日


詩集『糸むすび』
橋爪さち子/著

―大学紛争を経て、詩人は生活の前線へと向った―
橋爪さち子はすべての事柄に折り合いをつけず、逃げず、隠れず、ありのままの現実を承認してきた。
ただ時は燃え、その代償の多くを手にすることなく。
車椅子の母が最後に伝えたいこと、自らも母となり、子どもたちに伝えられずにいること、今詩人はここに秘めた念いの丈を解き明かす。
渾身の力で編み上げた最新詩集。(中村不二夫)
ISBN978-4-8120-2623-6
定価 本体2000円+税
発行日 2021年5月28日


動物詩集『へんな生き物』
大西美千代/著

近所をぐるりと回って
人生のきれぎれを尻尾にくっつけてそれは帰ってくる
最良のものと最悪のものをコレクションしてきて
少しやさしくなっている
ISBN978-4-8120-2624-3
定価 本体2000円+税
発行日 2021年6月30日


新・日本現代詩文庫154『清水博司詩集』
清水博司/著

 私は、人々が生きるその風土や歴史について、固有の感性や時代性を、詩や評論に投映することで、文学へのあこがれに導かれてきたのだと思う。その意味で、清水博司が、故郷の墓前で、〈ぼくのところまで命をつないできた/人類史……〉という言葉に出会い、この詩人の持つ躍如とした大らかさにあらためて衝撃を受けた。(麻生直子・解説より)
ISBN978-4-8120-2638-0
定価 本体1400円+税
発行日 2021年6月30日


詩集『モザイクの空』
和比古/著

 和比古さんは絵にも造詣が深く、みずからも絵筆をとる。そのうえに優しい人だ。絵を自分の側に引きつけるのではなくシャガールやピカソやそのほかの画家たち、その名画に寄り添うかたちが詩の中にある。その分落ち着いた抒情を深める役目を果たした。この魅力ある詩人の今後に私は期待したい。
(たかとう匡子)
ISBN978-4-8120-2625-0
定価 本体2000円+税
発行日 2021年6月6日


詩集『青売り』
椿美砂子/著

きゅうに扉を叩く人がいても わたしは驚いたりしない
とんでもないものを置いて帰る人もいたけれど
追い返したりはしなかった
どうぞとたおやかに扉をあけた
ISBN978-4-8120-2626-7
定価 本体2000円+税
発行日 2021年6月11日


詩集『空虚みつ大和』
吉中桃子/著

遥かな非日常(空虚)に充ちる大和の香りを
目に見えぬ神の声を体現する巫女のように嗅ぎとり
清き美感と心の深切さによって
滋味あふれた世界を構築している
(冨長覚梁)
ISBN978-4-8120-2631-1
定価 本体2000円+税
発行日 2021年6月30日


詩集『散居村の住人からの視点』
道元隆/著

 私の住んでいる所は、田舎です。田舎でも、散居村と呼ばれる地域です。この散居村は日本国内最大とされ、二百二十平方キロメートルの砺波平野に七千戸程度が散在しています。江戸時代以降に、家々が離れ離れになって水田中に点在するため、屋敷の周りに「カイニョ」と呼ばれる屋敷林を植えて風除け等として、今日に至っています。また、『宮大工の鑿一丁から生まれた木彫刻美術館・井波』として、平成三十年度に「日本遺産」に設定されました。平生何も感じていませんでしたが、実は素晴らしい所だということを実感しました。(あとがきより)
ISBN978-4-8120-2627-4
定価 本体2000円+税
発行日 2021年8月8日


詩と思想新人賞叢書15『ぽとんぽとーんと音がする』
黒田ナオ/著

気がつくと
幽霊が見えるようになっていた
いつからかだんだんと
そんな風になってしまっていた
ISBN978-4-8120-2633-5
定価 本体2000円+税
発行日 2021年6月25日


詩集『吹越の里で』
大塚史朗/著

「ただ今」 と声がしたので目覚めた
誰だろう 聞き覚えがない
弟たちの声ではない 二人の娘婿でもない
そうか 空耳だったのか
ISBN978-4-8120-2629-8
定価 本体2000円+税
発行日 2021年6月30日