2020年1月更新 


詩集『束ねられない』
おだ じろう/著

日々のうつろいに添って
語りかけていたもろもろのものたち
悲しみ 怒り 恐れ ありもしない歓喜
もろもろの 思いに満たされていた
周りのものたちの語らい
ISBN978-4-8120-2554-3
定価 本体2000円+税
発行日 2019年12月25日


詩集『ゆめがあるのなら』
大塚常樹/著

忘却は優美な後悔
距離をもたらすのは
律儀な時の天使たち
ISBN978-4-8120-2551-2
定価 本体1500円+税
発行日 2019年12月20日

2019年12月更新 



『アダルトビガク』
ある素晴らしい青年A/著

いま地球上でもっとも美しい存在者は
どういった存在者であるか。
観念論も経験論もなく、社会理論もなく。
たとえばそもそも人間は存在しておるのか。

たとえば君はどの程度、女の子がすきで、
どの程度スケベおじさんでありつづけることができるか。
もとい、スケベおじさんから
スケベ目線をとりあげてしまえばどうなるだろう。
ISBN978-4-8120-2544-4
定価 本体2000円+税, 発行日2019年12月15日



『孤高のニライ・カナイ』
中地中/著

 島宇宙は
現世と他界の幽玄を写して
天と大地の無限を時に同化する観念
観念は基底で慣わしを配下にして
宇宙を放さない

ISBN978-4-8120-2523-9
定価 本体3000円+税,発行日2019年8月30日



『貞恵抄 おたんちん 評伝・原民喜Ⅱ』
小野恵美子/著

暗黒の時代――男は、自らの感性を頼りに
時折、笑顔さえ浮かべながらひたすら、歩きつづけようとしていた。
暮らしが始まる婚儀の夜であった。
「おたんちん……」おもわず、女は言った。

詩人原民喜の妻・貞恵の壮烈な生涯を、
短くも濃密だった結婚生活を通して鮮やかに描いた稀有の評伝。
葉蔭より白蝶いでし葵かな〈恵女〉

ISBN978-4-8120-2508-6
定価 本体1800円+税、発行日2019年8月15日



詩集『月光苑Ⅶ』
大原鮎美/著

巨大なふいごで風を送り続けたから/夕空はもうこんなに赤く燃えている/さようなら また明日/明日は明日のふいごを押そう

ISBN978-4-8120-2521-5
定価 本体1600円+税
発行日 2019年9月20日



詩集『鳥のうた』
中村不二夫/著

キリスト者の清潔な詩集に
聖書の中の言葉がしばしば引用されているが、
詩人自身から発せられる言葉も、ひけをとらずに重く美しい。
新川和江

ISBN978-4-8120-2524-6
定価 本体2000円+税
発行日 2019年9月20日



詩集『狂天慟地』
鎌田東二/著

たとえ何が起こっても
めげないでくれ いつしか
夜逃げするほどの重荷を
背負い切れない遺伝子に
残した負債は不渡り

みなさん 天気は死にました

何が起こるか分からない
たとえそうであっても
ゆるがずに往け
たおやかに遊べ
ISBN978-4-8120-2533-8
定価 本体2000円+税,発行日 2019年9月1日



詩集『こどものピラミッド』
とよださなえ/著


子守のファトマは文盲で
アラビヤ語だけを話した
大女で 勝気で
女中仲間のボスであった
知らないという言葉も嫌いだった

ISBN978-4-8120-2506-2
定価 本体2000円+税
発行日 2019年8月20日



詩集『風景と音楽』
柳生じゅん子/著

ふり向くと あたりに ひとはいなくて
冷たさが ヒュッと 背中を走った

風は 花と落葉の季節を
ひとすじにしてめぐらせ
向こう岸までの距離を計っている

ISBN978-4-8120-2534-5
定価 本体2000円+税
発行日 2019年9月20日



詩集『冬の蝉』
水島美津江/著

男と女を切り結ぶ愛の普遍。大男、帰らない男、男を待つ女、施設にいる男、この詩の主人公はだれもが等しく傷を負い救済を待っている。繊細にして巧みな心理描写と、人間の情理の部分に訴えかけてくるシリアスな世界が読者を魅了する。小熊秀雄賞受賞詩人が、14年振りに現代詩の新たなステージに戻ってきた。
(中村不二夫)

ISBN978-4-8120-2532-1
定価 本体2000円+税,発行日 2019年10月9日



詩集『何処までも』
根津真介/著

お前たちは
何処から来たのか
何処にいるのか
何処へ行くのか
捨てなければならない
「愚」のおまけを
抱えたまま

ISBN978-4-8120-2529-1
定価 本体2000円+税
発行日 2019年9月20日



詩集『埋み火抄』
村椿四朗/著

この詩集は、詩人自身の属した団塊というパラダイムに向き合い、自分の生きた時代はこうだったと、生前葬ならぬひとつの哀歌を他者に向けて書き残そうとした詩集である。
(中村不二夫「解説」より)

ISBN978-4-8120-2504-8
定価 本体1000円+税
発行日 2019年8月5日



詩集『そらいろあぶりだ-し』
中井ひさ子/著

おばけはね、すべての人の
中にいて必ず揺れているの。

これって ほんとは あなたの
青春をうたったのでしょう? ――司修

ISBN978-4-8120-2525-3
定価 本体2000円+税
発行日 2019年9月9日



新・世界現代詩文庫16『アンバル・パスト詩集』
アンバル・パスト/著

アンバルが、幼いころからローマに匹敵する文化の源として憧れたメキシコ市も、彼女を同胞として温かく受け入れた、先住民文化が色濃く残るチアパス州サン・クリストバル終の棲家とはなり得なかった。(中略)
このように抱えきれないものを辛うじて抱えこみ、効率至上の母国、米国を心底で批判しつつ、今ヒマラヤ地方の仏教寺院で瞑想し、あるいはその地の人里離れた森を滑るように歩くアンバル・パストの、思うことを直ちに実行に移し、あくまで自己に忠実であり続けるその生き方を前にして、筆者は茫然と立ち尽くすばかりだ。
(細野豊・解説より)

ISBN978-4-8120-2519-2
定価 本体1400円+税,発行日2019年8月20日



詩集『サハラ辺縁』
風森さわ/著


見晴るかす この道なき砂の大地に迷い
命を落とした あまたの旅人たちを思いつつ
かつて深く心に刻んだ ある砂漠の賢人の言葉を
静かに思い起こして……

ISBN978-4-8120-2530-7
定価 本体2000円+税
発行日 2019年9月20日