２０１9年12月更新　(2)

詩集『花あるいは骨』
加藤思何理／著

男たちは殺す。
鳥を殺す。
その屍骸を埋めるために男たちは競って穴を掘る。
その穴は、だが常に多すぎ、大きすぎる。
だから男たちはさらにたくさんの鳥を殺さなければならない。

ISBN978-4-8120-2515-4
定価　本体2000円＋税
発行日　2019年9月30日

詩集『番人』
沢聖子／著

ここには知力を武器に、現実の人生に勝利した者は一人も登場しない。なん十匹もの宿無しの猫、忽然と姿を消した男、浅草の女やくざ、東京下町を舞台に、どん底にあっても利他の精神を忘れることなく、けなげに生きる詩人の真の声と奇跡の物語がある
（中村不二夫）

ISBN978-4-8120-2522-2
定価　本体2000円＋税
発行日　2019年10月14日

新・世界現代詩文庫17『金永郎詩集』
金永郎／著　韓成禮／訳

金永郎は土俗方言の使用、洗練された母国語の駆使、自己の人生の空間などを詩の画幅に収めることで、韓国詩が近代から現代に移行する架け橋の役割をした。金永郎は、自分の故郷である全羅道地方の土俗語を詩の中に弾力的に駆使して言語芸術としての詩の味わいを生かし、音楽性と感覚性の引き立った韻律を詩の中に盛り込んで韓国現代叙情詩の発展に大きく寄与した。人生論的な「恨」の説話性は、金永郎詩の到達した深い味わいのある境地である。
（韓成禮・解説より）

ISBN978-4-8120-2542-0
定価　本体1400円＋税
発行日　2019年10月31日

詩集『親子つれづれの旅』
田中志津・田中佑季明／著

百二歳にして旺盛な執筆活動を続ける母・田中志津と、
おなじく詩、短歌、小説と作家活動を続ける息子・佑季明の、
親子二代に渡る稀有のコラボレーション。
短歌、随筆、対談…バラエティに富んだ結実の書。

百二歳いつまで生きむこの命子に見守られ明日を生きなむ〈志津〉

ISBN978-4-8120-2535-2
定価　本体2000円＋税
発行日　2019年10月10日

詩集『吹毛井』
後藤光治／著

詩を書こうとすると、
煌く海や、潮風や、雑木林などの
あの侘しい風景が蘇ってくる。また、
もう死んでしまった、陽気な酔っ払いや、信心深い老婆や、
気風の良い大工たちが、じっとこちらを見返してくる。
私はもう、無理をしてこの世界から脱却しようとは思わない。

ISBN978-4-8120-2540-6
定価　本体2000円＋税
発行日　2019年10月20日

詩集『緑の歌』
前原正治／著

私は　樹の根から幹へ
そして枝へと　樹液とともに立ち昇り
葉の内部に　恍惚として流れ降り
あなたの緑の風にふれて　思わず　そよぎたい

ISBN978-4-8120-2526-0
定価　本体2000円＋税
発行日　2019年10月20日

詩集『私のものではない言葉を』
清水茂／著

葉が語り、雲や鳥が語る言葉を
そのままに受け取ることができれば
ここからは見えていない遥かな地平線の
向こう側で　悲しんだり喜んだりしている、
幾つもの心の在り様を　そのままに
あなたに伝えられるのに……

ISBN978-4-8120-2537-6
定価　本体2000円＋税
発行日　2019年10月17日

詩集『鍬に錆』
武西良和／著

小刻みに歩むために　おれは蟻
心を解きほぐすために　わたしは蝶
じっくり考えるために　ぼくはカタツムリ
もうすぐ春だ　みんな寒さから目覚めて　ここに集まるだろう

ISBN978-4-8120-2541-3
定価　本体2000円＋税
発行日　2019年11月10日

詩集『流れる木』
林洋子／著

樹木が生命の象徴であるとすると、林洋子さんは、その〈緑の意思〉をしなやかに伝えてきた詩人だ。
海流にむすばれる列島を、風、鳥、虫、波などがはこぶ微小な種子や胞子、流木さえもその幹の深いくぼみに種子を抱いて、はるかな島をめざすという、詩集『流れる木』の光源は、詩人と樹木たちとの密接な交感を通して、現代人のライフスタイルにも静謐に問いかけてくる。
（麻生直子）

ISBN978-4-8120-2527-7
定価　本体2000円＋税
発行日　2019年10月26日

詩集『風紋』
田中佑季明／著

わたしは
無味乾燥な道を　縦に真っすぐ歩く
時々
底知れぬ　縦割れの
クレバスを
慎重に　避けながら

ISBN978-4-8120-2543-7
定価　本体2000円＋税
発行日　2019年11月20日

詩集『永遠と一瞬のあいだは水色』
吉川彩子／著

いくらたってもぼくらは河口でしか暮らせないだろう
ハレーションする上弦の月
感じることはできる所有することだって
月まで飛ぶれんしゅうをしよう
ペルセウス座流星群の彗星が次に来るとき、あなたもわたしもみんないない
つきまで飛ぶれんしゅうをしよう
天使がかなしむわたしの上で宙返りして　今夜だけなぐさめてくれる
月まで飛ぶれんしゅうをしよう

ISBN978-4-8120-2546-8
定価　本体1500円＋税
発行日　2019年12月1日

詩集『風駅』
山本みち子／著

叔母さんが捨て猫を飼い始めたのは
いつの頃からかはよく知りません
知り合った頃にはすでに
七匹もの野良猫の面倒をみていましたから

ISBN978-4-8120-2547-5
定価　本体2000円＋税
発行日　2019年11月30日

詩集『浄瑠璃の鏡』
肌勢とみ子／著

おかえり　無垢なわたしよ
今からでも間に合うかもしれない
もういちどやり直してみようか

ISBN978-4-8120-2531-4
定価　本体2000円＋税
発行日　2019年11月30日