『野田寿子全作品集』
野田寿子/著

待望にこたえる野田寿子全作品集
当代稀な現代詩のユニークな詩塾“はてなの会”を創始して、
全九州ほかに気焔を吐きつづけた女流詩人の、
滋味深い詩と散文を集成した大冊。
女流らしい明快な説得力に快く酔わされる。
衰えがちな現代詩の気力を甦えらせてくれる一巻である。
(伊藤桂一)

ISBN978-4-8120-1998-6 C0092
定価6000円(5%税込)

詩集『ミネルヴァの梟―31のコンポジション』
松本高直/著

「ミネルヴァの梟は夕方に飛び立つ」と言ったのはヘーゲルである。古い知恵の黄昏の中から、新しい世界の到来を告げつつ、知の女神の使者が飛び立つように、松本高直の暗喩の翼がこの詩集によって、疲弊した現代詩の世界を一新してくれることを期待したい。
(一色真理)

ISBN978-4-8120-1980-1 C0092
定価2625円(5%税込)

詩集『雲に乗った午後』
中山直子/著

中山直子の作品は、もしそこに眼差しというものがあるならば、すべてこの失われた〈ここ〉全き世界の方向を見つめているといってよい。それゆえになつかしく、美しく、清らかなのである。
(以倉紘平・解説より)

ISBN978-4-8120-1975-7 C0092
定価2100円(5%税込)

詩集『水の器』
松下美恵子/著

人の体は70%は水でできている。私たちはいのちの器なのだ。松下美恵子さんの詩は端正で、豊かな抒情と郷愁に似た悲しみが今にも縁から溢れそうだ。言葉に向かう姿勢は厳しく、どの詩にも自分への深い問いかけがある。
(一色真理)

ISBN978-4-8120-1984-9 C0092
定価2100円(5%税込)

新・日本現代詩文庫101『岡三沙子詩集』
岡三沙子/著

深夜の雨は
眠りをむさぼる薬と
どこかで溶けあっている
(「子犬は雨がさらっていった」より)

長い間、私は岡三沙子さんを、「屍」の詩人と思っていた。彼女は東北人らしく粘り強い気性の持ち主で、しっかり者だ。それから、なんでもやってやろうとする積極的な行動力、意思の強い性格ではないかと、私には思えた。その基本に、へそ曲がりの詩魂がある。詩集を読んでそう認識した。
(金子秀夫・解説より)

岡さんは詩人に多いロマンティストではなく、この世界の不条理を冷徹に記述するライターの眼差しを内に秘めたリアリストの詩人だ。岡三沙子さんの経歴を読んでいると、人生の節目を自らの強い意志で選び取ってきたことが分かる。その意志力の背景には、一人の人間が自己実現のために努力を惜しまない主体性の力強さを感ずる。
(鈴木比佐雄・解説より)

ISBN978-4-8120-1999-3 C0192 定価1470円(5%税込)

新・日本現代詩文庫102『星野元一詩集』
『あなたが風に吹かれて立っている時』
星野元一/著

糸をたらす
ちからいっぱい口をあけて
その中が海だ
足のすくむ
まっくらな海だ
(「海」より)

優れた詩は自ずから優れて批評を内包する、とはよく言われることだが、前述の北川冬彦の選評にあった「現実批判の精神」もまた、星野元一の詩を考える上での重要なキー・ワードの一つであろう。星野さんの詩が持ちつづけてきた批評性を解きあかすためには、「匿名性志向」と「辺境からのまなざし」という二つのヴェクトルに思いを致す必要があると私は考える。
(鈴木漠・解説より)

才色兼備の夫人を前にして、なるほど、この人を射止めるために星野さんはタヌキに化けたのか。森のタヌキもお株をとられて慌てたことだろう、などと例によってくだらない空想をし、思わず笑いそうになり、私も慌てた。星野さんの上質なユーモアは私たちの心を暖かくしてくれる。星野さんの詩は、また面倒な解説などなくても、まっすぐ読者の胸に入ってきてくれる。
(小柳玲子・解説より)

ISBN978-4-8120-2003-6 C0192
定価1470円(5%税込)

新・日本現代詩文庫98『鈴木孝詩集』
鈴木孝/著

 たえまなくおまえは
鍬をにぎって土地を耕す農夫だった
おまえのふりおろす鍬の刃先は
必ず俺を血まみれに空の中へたおした
(「農夫」より)

このたび、鈴木孝の作品を最初期からまとめて読む機会を得たが、誤解を恐れずにいうなら、すべては『泥の光』に流れ込むようにできているのではなかろうか。(中略)『泥の光』は真に驚くべき詩集である。まずその長さが半端ではない。二段組の本書で七十ページちかくもあり、それでも抄出だ。エクリチュールへと向けられた主体のなみなみならぬエネルギー、あるいはその強靭な意志のようなものを感じる。
(野村喜和夫・解説より)

鈴木孝さんの詩作品の特異性は、自由連想法の告白・叫喚に近いタイプである。朗読詩にはもってこいの展開があり、映像詩の朗読にも向いている。力わざがあり、具象性から選び出した劇的な言語群に満ちている。これでもか、これでもかと、高波のように押寄せてくる。死霊と死骸が印象的に使用されている。目で追う活字よりも、音楽と照明を操作しての朗読のおもしろさを演出すれば、いちだんとすぐれたものになるだろう。
(長谷川龍生・解説より)

ISBN978-4-8120-1958-0 C0192 定価1470円(5%税込)

新・日本現代詩文庫100『水野るり子詩集』
水野るり子/著

雨の日のかえりみち
通りかかった家がなつかしくて
わたしはひさしの下に
傘をかたむけて 埋めてきた
《馬のたまごを一個》だけ
(「馬のたまご」より)

詩人とは言葉の魔術師でなくてはいけません。詩の魔術はこの世の無からさまざまな美しさを生み出す秘法でもありますが、一方禍々しいものもたくさん生み出す魔女の技でもあります。
そしてその魔女は時として「きれいはきたない、きたないはきれい」といったこの世の真実を語り、また時には陰で不吉な予言もする、この上もなく魅力的な存在なのです。
(尾世川正明・解説より)

おおきなクジラとちいさな耳かきが、なんの不思議もなくとけあう水野ワールドでは、『ユニコーンの夜に』のもっとも動物的な力の象徴の「馬」が、植物のように地面から生まれたり、空をとぶ鳥のように卵から孵ったり。水野さんの詩が難解だ、という人がいるけれど、へたな夢判断をしようとさえしなければ、子どもだって(子どものほうが、より一層)豊かな宇宙で遊べるのに。
(相沢正一郎・解説より)

ISBN978-4-8120-1960-3 C0192 定価1470円(5%税込)

詩集『ここはどこですか』
原桐子/著

わたしたちがわたしたちでなくなるとき
二人は五里霧中 夢の中
踊り 音に酔い 大声をあげ 手をとりあう
わたしたち笑うことができました

ここはどこですか

ISBN978-4-8120-1976-4 C0092
定価2100円(5%税込)

詩と思想新人賞叢書6『トットリッチ』
岡田ユアン/著

昨日と同じ朝ですか

ISBN978-4-8120-1955-9 C0392
定価2100円(5%税込)

詩集『鯤』
川端進/著

人生という深くて小さな川から釣り上げた15尾の釣果。
こんな川で釣れるんやろかなんて聞かんといて
なんにも見えない底に夢や希望が隠されていると思うと
おれらの釣心をあおるんや
どや 食べて見る気はないか

ISBN978-4-8120-1997-9 C0092
定価2100円(5%税込)