2020年4月更新 


句集『あすなろ』
木村忠治/著

見上げれば花満開の老桜
言わずともバラにはバラの矜持あり
今にして見ゆることあり残り菊
翌檜(あすなろ)とつぶやき生きて去年今年
清新の心を持って自然と人を、過去と未来を詠い上げる入魂の300句
ISBN978-4-8120-2557-4
定価 本体2000円+税
発行日 2020年4月10日


詩集『お母さんと呼ばせて』
森川芳州/著

母の温かな
コスモスの眼差し
手折って
手折って
きつい言葉で踏み荒らす
何故なんだろう
摘み取ったはずの
コスモスの花は
私の庭で
相も変わらず咲いている
何も無かった顔をして
限りなく揺れている
ISBN978-4-8120-2555-0
定価 本体2000円+税
発行日 2020年3月15日


新・日本現代詩文庫149『愛敬浩一詩集』
愛敬浩一/著

愛敬浩一の詩人として優れているのは、高い志をもっていないことにある。あるとすれば、詩においしさだけを求める、その大胆にもささやかな志だけである。
 世の中の仕組として、ずっと詩は高き志を語る役割を担わされてきた。詩人は選ばれた者として意識し、その言葉を紡ぎ続けて生きるよう期待されてきた。(中略)だが、愛敬浩一は(中略)それに対して小さい声ながら大胆に疑問を呈した、と私は読んで理解した。
(村嶋正浩・解説より)
ISBN978-4-8120-2561-1
定価 本体1400円+税
発行日 2019年4月30日


新・日本現代詩文庫148『天野英詩集』
天野英/著

イメージが鮮明に読み手の心に映し出される。この寓話は世界の語り部、つまり天野英の求める世界は、祭りを終えて(ここでは舞踏)地上から消えてゆく人間の無常観をうたっているが、それゆえにこそ一瞬一瞬をひたむきに生きようとする人間の生に光を当てているとも言える。
 光と闇、生と死、若さと老い、男と女、一見それぞれが対極にあるようでいて、それはどちらも一つのものから分かれた片鱗でしかない、という事を示唆しているように思われる。
(小川英晴・解説より)
ISBN978-4-8120-2556-7
定価 本体1400円+税
発行日 2020年3月10日


詩集『風歌(そえうた)』
みくち けんすけ/著

雲を眺める衰えた眼で
風を感じるあるがままの肌で
観念のむこうで季節は移り
呼吸が停止するまでは
老木の花は咲きつづく
ISBN978-4-8120-2548-2
定価 本体2000円+税
発行日 2019年12月3日


詩集『微かな吐息につつまれて』
小野ちとせ/著

読み尽せないから、繰り返し読みたくなる。ときに光となって躍動し、ときに水となって沈潜するこの詩人の言葉に誘われて、私たち読者もまた知ることになるのだ。「手繰り寄せれば どこかで繋がり合う 植物も動物もわたしたちも そして風も」と。そして、「わたしたちは 宇宙に属している」のだと改めて納得する。これは素晴らしいことだ。
(清水茂)
ISBN978-4-8120-2549-9
定価 本体2000円+税
発行日 2019年12月3日


新・日本現代詩文庫147『山岸哲夫詩集』
山岸哲夫/著

山岸哲夫の詩にはたとえれば花にも似た女性たちが数多く登場する。その女性たちの中にはつきあいのあった人もいれば、主人公が患者として関わっただけの人もいる。
 草花や木、河口や山など自然に憧れ、美を求める書き手がいるように、異性に美を求め、したしむ書き手があってもいいと思う。
(井坂洋子・解説より)
ISBN978-4-8120-2550-5
定価 本体1400円+税
発行日 2019年12月15日


詩集『かぎろい』
水木萌子/著

―雲間からささやくような 天使のはしごが下りてきた
広いおでこを傾けて 君は受け取ろうとしていたね
壮大な旅へ駆け出そうとする その光のたすきを
ISBN978-4-8120-2552-9
定価 本体2000円+税
発行日 2019年11月30日


詩集『母の旅立ち』
杉野紳江/著

母は 困らないように 慌てないように
半年前に 夢で連絡してきてくれたのだ
ありがとう そして ご苦労様
お母さん 後は心配しないで
安らかに 眠ってください
夏の夜や正夢だった母逝去
ISBN978-4-8120-2539-0
定価 本体2000円+税
発行日 2019年11月30日


詩集『木の遍歴』
谷口ちかえ/著

やがて一人で村を後にするだろう
と予言したのは
山の無人の境内に立つ 遊び相手の樫の木だ
地平線と水平線、この世とあの世、心の内外、時代の壁、さまざまな境界線を越えてゆく詩人の道程は、ほんとの自分に行き着くためか?9年前、詩集『地図のかなたへ』を世に問うた詩人は、道なき道をたどりつつ、宿命のように求道のように、くりかえしここから〈遍歴〉の旅に出る。
ISBN978-4-8120-2538-3
定価 本体2000円+税
発行日 2019年11月30日


『短歌スコアよ名歌を選べ』
家坂利清/著

本書は、独自に考案した短歌スコア五項目で六十一首の短歌を分析したものである。このスコアを用いることで、従来の歌の評価を変えることになった。短歌の評価に専門歌人や評論家の「名歌鑑賞」とは一味違った現代短歌鑑賞の方法を提案する、渾身の評論。
ISBN978-4-8120-2528-4
定価 本体1500円+税
発行日 2019年11月30日


詩集『幸福の速度』
吉田義昭/著

「老いて、男やもめで、独り暮らしの人間は孤独病」
社会はなぜ、そんな風に私を定義するのでしょう。
私の孤独はそんな「負の孤独」ではありません。
人間は優しい家族や友人や隣人たちに寄り添い、
「運命愛」を信じて、独りでも生きていけるものですが、
「宿命だ」と諦め、独りで詩を書いていてはいけません。
ISBN978-4-8120-2545-1
定価 本体2000円+税
発行日 2019年11月15日