2024年12月26日更新
詩集『かけがえのない一刻』
金子智/著
昔はこれで 近所の庭を 叩いてまわった
とうちゃんは里芋の茎に藁を巻いて棒を作り
弟とぼくにもたせてそう言いました
ふたりはかあちゃん手縫いの
はんてんこを着て
星が降る晩
ISBN978-4-8120-2879-7
定価 本体2000円+税
発行日 2024年12月25日
詩集『ほかに言葉が見つからなくて』
くぼかわけんいち/著
今夜は夏にお礼を言ってやすみます
ねぇ、きみを誘ってもいいですか?
もしよかったら
二人で線香花火をしませんか
冬支度をする前に
ISBN978-4-8120-2868-1
定価 本体2000円+税
発行日 2024年12月25日
2024年12月25日更新
詩集『スワンソング』
肌勢とみ子/著
肌勢とみ子さんの詩は、生活への認識の深さを比喩から象徴へと進化させ、物語性を付加させた高度な技法による作品です。表題の『スワンソング』は伝説上の白鳥の歌からとられ、肌勢さんも「この詩集を人生最後にしようと思っています…」と語って下さいました。貧しく辛い生活のなかでも確かに瞬いていた真実の光の記憶を追う詩集です。真実の言葉の喜びにめざめた高らかな歌声は、彼女しか書き得ない、彼女の生きた証を語りつつも、支えてくれた人々への感謝の詩集でもあるのです。(中谷順子)
ISBN978-4-8120-2861-2
定価 本体2000円+税
発行日 2024年12月1日
新・日本現代詩文庫171『おだ じろう詩集』
おだ じろう/著
生きる人間にとって死は永遠に未知の領域であるが、それがついには自然との一体化であることを穏やかにうれしそうに描いているのが印象的である。ごく普通のことのように同意を求める「ね?」の人なつっこさは誰に向かって、何に向かって発せられたものであろうか。詩人おだじろうが呼吸するように、うたうように書き続け、生み出し続けてきたすべての詩が背負っている問い、呼びかけはこの「ね?」の中にある。(上手宰・解説より)
ISBN978-4-8120-2877-3
定価 本体1400円+税
発行日 2024年12月15日
詩集『バーミートーリョー』
うえじょう晶/著
ソーキを煮込みながらお玉で灰汁を掬い取っていたら
極小の顔が浮かびあがり、無数の罪びとが手をかざして、
釜茹でから逃れようとしている。
ISBN978-4-8120-2867-4
定価 本体2000円+税
発行日 2024年11月15日
詩集『時の通る場所』
北沢秋恵/著
私も こんなだっただろうか
色褪せたアジサイの気持ちになってみた
雨の滴がポツンと落ちて
私が薄目を開けてみると
アジサイは濡れてきれいだった
ISBN978-4-8120-2875-9
定価 本体2000円+税
発行日 2024年11月23日
詩集『清い光』
真原継一/著
傷つき立て直し 立て直し傷つき
破壊して立ち直り 立ち直り破壊して
立ち上がり横臥して 横臥して立ち上がり
夢求め 生き生きと夢中を歩く
ひたむきな尊い人よ
ひたむきに生き
生き生きている姿に
出会いたいものだ
ISBN978-4-8120-2878-0
定価 本体2000円+税
発行日 2024年12月1日
詩集『夢始末』
田口ムツ子/著
青春の夢は
いつもはかなく消えて
いくつかの約束は
果たされることなく
終わり
すべなく佇む
遠い日の私の姿が
霞んで見える
薄れかかった
記憶の中に
まだ燃え尽きていない
約束があった
ISBN978-4-8120-2870-4
定価 本体2000円+税
発行日 2024年11月28日
2024年11月20日更新
詩と思想新人賞叢書18
『はじめて詩集を手にするきみに』
一史/著
やさしいことばって
肌のふれあいみたい
考えなくていいから
「一史は幸せに満ちた一瞬の光景を言葉のピンで次々と固定しながら、人には二度とできないことが多すぎると嘆く。身体が寄り道をして、心が道草をするうちに、猛スピードで時間に追い抜かれ、幼な子はぐんぐん成長し、太陽をぐるりと百回廻る頃には尽きかけた命を抱きしめるだろう。デビュー詩集にして言葉の始原に迫る快作」
―盛田隆二(小説家)
ISBN978-4-8120-2855-1
定価 本体2000円+税
発行日 2024年10月21日
新・日本現代詩文庫166
『新編 忍城春宣詩集』
忍城春宣/著
「須走」は「天空のまち」であり、「風花のまち」であり、「富士にいちばんちかいまち」である。また、「雲海のまち」であり「近づくと/地元の誰もが/雲のにおいがする」。日没どきに群青に染まる富士山を眺める「群青のまち」では、旅びとも、地元の人も一緒に群青に染まり、やがて、「赤い鬼灯富士を指差し/一斉に歓声をあげ/合唱する」。この詩集は、富士山の百科事典である。
(田中健太郎・評)
ISBN978-4-8120-2863-6
定価 本体1400円+税
発行日 2024年9月30日
新・日本現代詩文庫167
『新新 忍城春宣詩集』
忍城春宣/著
忍城さんの作品は、余分な説明文言を徹底的に省き、まるで定型詩を思わせるようなリズム感があります。状況説明文言や、形容詞などを、徹底的に切り落としているにもかかわらず、鮮明な映像が浮かんできます。
(浅田みつ子・評)
ISBN978-4-8120-2864-3
定価 本体1400円+税
発行日 2024年9月30日
詩集『アキレスの妻へ』
有田和未/著
登校時間
アキレスの妻へ
回転牛星
どのようであれば詩だと言えるだろうか。
どうすれば詩であることができるだろうか。
自分の心象をあらわすための文法を、
試行錯誤して探し出す努力を
積み重ねていくほかない。
もうこの言葉遣いしかないのだと、
とことん実験を繰り返していくほかはない。
ISBN978-4-8120-2845-2
定価 本体2200円+税
発行日 2024年11月20日
詩集『去られるために 去るために』
奥津さちよ/著
ときおり 風が来て
陽が高くなった
冬は去り
春が来たのだろうか
わたしはもう戻らない
閉ざされていた
ながいながい冬のあいだに
やっと
ひとつの次元を超えられたのだから
ISBN978-4-8120-2873-5
定価 本体2000円+税
発行日 2024年11月15日
詩集『養年』
照井知二/著
永年の日蔭の裏通りのさすらいびとへ夢の養い火をかざし、どんな影絵を炙り出せたのだろうか、辿ってみて私は「のぞましい現実」を作りかったのではないかと、今つくづく思う。
(著者「あとがき」より)19篇を収める第2詩集
ISBN978-4-8120-2865-0
定価 本体2000円+税
発行日 2024年10月31日
詩集『んから歩き始めて』
唯野一郎/著
たしかにおわった明日の夢の角曲がってみれば背後を歩いている姿追い駆ける
ISBN978-4-8120-2869-8定価 本体2000円+税発行日 2024年11月10日
詩集『ギフト』
内田良介/著
路傍の水たまりに映った
暮れなずむ空に見とれていた
「世界ってどうしてこう綺麗なんだろう」と呟きながら
もともと役に立たない発見なのだ
自分以外の存在を易々と受け入れてしまう
美しいと感じる危険な無防備
ISBN978-4-8120-2871-1
定価 本体2000円+税
発行日 2024年11月15日
詩集『梅の木の下で』
三ヶ島千枝/著
夢を見た 山裾を葬列が通る
その棺を見たら空っぽだった
夢から醒めて 私は死ななかったと改めて思った
そして
これからはやりたい事を やって行こうと
詩を作ることを覚悟した
ISBN978-4-8120-2857-5
定価 本体2000円+税
発行日 2024年10月20日
詩集『世田谷線線路跡』
萩野洋子/著
やがて柳は芽をふくだろう
枝に結ばれた無数の小さな約束が
いっせいに果たされたように
やわらかな笹型の葉をつけて
頭上から春が来たのだと気づかせてくれる
ISBN978-4-8120-2874-2
定価 本体2000円+税
発行日 2024年11月20日