2024年5月更新 

詩集『啞問』
小勝雅夫/著

にんげんは ことば
やがて消える 言葉にならぬ はじけ飛ぶことばなのだ
そしていつまでも そしていつまでも
漂うとみえて はじけ飛ぶ叫び
ことばの海に荒れ狂う

ISBN978-4-8120-2830-8
定価 本体2000円+税
発行日 2024530

詩集『冬の曲線』
小林妙子/著

詩という形式を通して自分の内面を表現しようと拘っているうちに、ふと「私」が見えてくることがある。そのときに気付かなくとも、回を重ねているうちに「私」を意識できるようになる。/この詩集に組み込まれた詩篇に鋭い感性の「私」が鮮明にその表情を見せている。/ぎりぎりまで過剰な部分を削ることでイメージの単純化を図り、それによって真意を深め読み手の参入を許容できている。小林詩のこの特性が、この詩集をより強いものにしている。
(高橋次夫)

ISBN978-4-8120-2828-5
定価 本体2000円+税
発行日 2024510

歌集『草原』
家坂利清/著

待望の第四歌集
「神なんぞ要らぬ」と朝は言いすてて夜はほそほそ安酒を酌む
みはるかす大草原のそこかしこ黄の花が咲きカラス飛びかう
父の通夜 棺を囲むロウソクの炎ゆれたりひと祈るとき
白菊を棺の友に添えた夜はみぞれまじりに哀しみが降る

ISBN978-4-8120-2829-2
定価 本体1500円+税
発行日 2024430

詩集『せせらぎさがし』
清水博司/著

ときどきだが
春が苦手だと思うこともある
風が爆ぜて土が動き始めるというのに
ぼくは冬の中に取り残されたままなのだ

ISBN978-4-8120-2827-8
定価 本体2000円+税
発行日 2024430

2024年4月更新 

詩集『來陽』
出雲筑三/著

やがて灰色の隙間から一本の光 まっしぐらに伸びて来た
白壁が朝の光に輝きだし ベッドを囲む鉄柵に反射する
遂に 右手そばまで迫って来た
忘れていた太陽のめぐみ 草原の花弁のように
ひたすら求めて 伸ばす 手のひら
ISBN978-4-8120-2820-9
定価 本体1800円+税
発行日 2024年4月15日

詩集『こおろぎ おばあちゃんの昔話』
西谷貴子/著

山から薪を背負った人が 人里離れた墓場の傍らを通りかかると
うずくまった 小さな子供の姿が二つ
よく見ると 二人は小さな棒切れを持って
土を掘り起こしていた
「お前ら ここで何しとるんや」
「おっ母さんに 会いたいんや」
「おっ母さんは この下にござるで」
ISBN978-4-8120-2825-4
定価 本体1000円+税
発行日 2024年3月21日

詩集『小さきものたち』
斎藤久夫/著

風が通過した 無人の山と里山と
破壊された屋敷の内と外とを
猪と僅かな人とが通り抜けている
むかし鳥を撃つ老人の横に
ついていったことがあった
ISBN978-4-8120-2822-3
定価 本体2000円+税
発行日 2024年3月9日

新・日本現代詩文庫165『佐々木久春詩集』
佐々木久春/著

 佐々木久春氏の詩は、原発の安全神話崩壊というニヒリズムを飲み込み、そのことばは土や水の神秘に同化し、そこから微かに立ち上ってくる言霊を丁寧に拾う。ここで佐々木氏が訴えているのは、かつてタゴールが現代文明に警鐘を鳴らしたように、一木一草の自然界に魂が宿るという祈りの姿勢である。(中村不二夫・解説より)
ISBN978-4-8120-2826-1
定価 本体1400円+税
発行日 2024年3月31日

[新]詩論・エッセイ文庫27『歌の翼に』
池田瑛子/著

詩との出会いに始まり、詩人たちとの出会いと交流から、故郷への思いと幼い頃からの土地の変遷、現在までの来歴、そして母に対する感謝と豊かな追憶まで、さまざまな場面での著者の全貌を余す所なく収録した、初のエッセイ書。さらにそれらの関連詩篇も多数掲載し、多面的なアプローチで迫る画期的な構成にも注目!
ISBN978-4-8120-2821-6
定価 本体2000円+税
発行日 2022年3月25日

句集『菊日和』
蔭山節子/著

柔かき蓬摘みつつ香りけり
葉桜や参道の茶屋鰻裂く
菊日和聖堂孔子像祀る
藁囲ひして植ゑ替への冬牡丹
初空に雲なし筑波二峯立つ
ISBN978-4-8120-2824-7
定価 本体2000円+税
発行日 2022年3月25日

2024年3月更新 

詩集『泣いて笑って幼子よ』
森川芳州/著

幼子は/かまってもらいたくて/しかたないのです
まだ/半年にも満たない弟の顔に/お姉ちゃんが/タオルをかける
泣くかと思ったら/頓狂な声を上げて/笑い転げ始める
悪戯をされることが/嬉しくて/たまらないようだ
ISBN978-4-8120-2819-3
定価 本体2000円+税
発行日 2024315

2024年2月更新 

詩集『星降る森の波音』
柊月めぐみ/著

乳白色の輝く帯
あちらからあちらまで
まばゆくこぼれる
光の渦を駆ける
…………
南十字の森に響く
狩りの歌と舟歌が
星の子に聴かせる子守歌にとける頃合い
ISBN978-4-8120-2812-4
定価 本体2000円+税
発行日 2023年12月5日

詩集『更地』
水島美津江/著

町工場主だった父、寄り添う母、娘は革命に走る。そこには我々の愛する昭和の風景があった。林立する高層ビル群、空をふさぎ、風の通り道を奪う。彼らはだれも飢えていない。詩人水島美津江が示唆するのは、幸せでも不幸でもない人たちが浮遊する、心なき仮面の時代へのしずかな告発だ。人は更地の上で、もういちどやり直さないといけない。
(中村不二夫)
ISBN978-4-8120-2817-9
定価 本体2000円+税
発行日 2023年12月25日

詩集
『僕たちはなくしたことばを拾いに行こう』
南雲和代/著

僕は誰なのか
母は最期までこの国のことばを話さなかった
僕には十五歳までことばがなかった
沈黙の世界をただよっていた
僕には母のことばもこの国のことばも
どちらもなかった
ISBN978-4-8120-2813-1
定価 本体2000円+税
発行日 2023年12月25日

詩集『浮釣木の顚末』
内藤喜美子/著

階段の裏側に潜伏して
いつも隙あらば と様子を窺っている幻の目
なんでもない こんな所に
存在するものの気配が漂う
すっかり忘れてしまっていたんだわ
ISBN978-4-8120-2811-7
定価 本体2000円+税
発行日 2024年2月15日

2024年1月更新 

詩集『僕がいない町』
中川ヒロシ/著

河野先輩は全日本の選手で活躍したのち先生になった
田中君は建設業で何億か借金がある
高田君は工場をいつも辞めたがっている
宮下君は二年前 過労死した
僕は少しの間 本当に歌った
今は 何もなかったように 暮らしている
ISBN978-4-8120-2818-6
定価 本体1800円+税
発行日 2023年12月25日

詩集『果てしない青のために』
青山勇樹/著

せつなさがあふれてどうにも止められないときは
誘われるまま透きとおる青になって海をわたる
おそらくいのちはいくたびも姿を変えるだろう
いつかあなたとひとつになるからきっとなるから
おおきな願いそのものに成り代わろうとするように
ISBN978-4-8120-2797-4
定価 本体2000円+税
発行日 2023年12月24日

詩集『パルスと円環』
麻生秀顕/著

寒くて長い夜が明けて
幻を求める男たちが
白馬に乗ってやってきた
魂も凍る氷の世界から
唇も焼ける砂漠の地平から
そのころの私には
そう見えたのでしょう
ISBN978-4-8120-2816-2
定価 本体2000円+税
発行日 2023年12月20日

詩集『先生の手料理』
則武一女/著

クルミやなつめにピーナッツ
箱にぎゅうぎゅう詰めで送られてきた
先生からの贈り物
…………………
わたしの思い出の詰まっている所から
ISBN978-4-8120-2815-5
定価 本体2000円+税
発行日 2023年12月10日

詩集『虹のような日』
見上司/著

 ウクライナの悲劇にシェフチェンコの詩を思い、いや君はすでに二〇〇二年三月に北欧を思わせる『ニルス』という詩集を出していた。やさしさと愛をかみしめるために詩を書く、また「ペテルブルクの夏はうつくしい」(「白夜もしくは罪と罰」)と君に教えてくれたロシアの若い娘もいた、という。
 君の言う通り、詩を楽しもう。生きることと死ぬことの悲しみを滋味(あじわ)うために。各自に涙ぐみ、やさしい諦めのなかで、そして何度もことばを噛みしめながら。
(佐々木久春)                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                              
ISBN978-4-8120-2810-0
定価 本体2000円+税
発行日 2023年12月10日