詩集『北総台地Ⅱ』
早藤猛/著
ぼうぼうと季節風が北総台地を吹き抜けていく。
第四期洪積世の海底から地殻変動を起こし、
沖積世の大地が造った千葉野。
偉大な自然の織り成す歴史の前で、
私の時間は一粒の砂よりも小さい。
ISBN978-4-8120-2227-6
定価 本体2000円+税
発行日 2015年7月30日
詩集『はぐれ螢』
築山多門/著
ことばが ひとを動かすなんて
それは 魔術師か奇術師の仕事
それは そのことばを
発したひとのひととなり
その場の雰囲気
あるいは
風の白さや 草花の香りや
雨ににじむ灯りが
ことばに輝きを与えるのだ
ISBN978-4-8120-2240-5
定価 本体2000円+税
発行日 2015年8月7日
詩集『薔薇窓のあかりに』
大泉光子/著
大泉さんの〈あとがき〉を拝見すると、この詩集発行の意図、決意が明瞭によみとれる。先輩詩人は、「詩は青春と晩年のもの」とよく言われたが、まさに晩年の、視野の広く、心の深いところから溢れ出ている感がある。又、表現も適確で、言葉のひびきが迫ってきて心地よい。これは本人の才能によるが、習練の賜であり、良い詩集に成ったと喜びに堪えない。
比留間一成・添え書より
ISBN978-4-8120-2229-0
定価 本体2000円+税
発行日 2015年8月15日
詩集『木は、』
三宅鞠詠/著
木がいて、わたしもいた。
わたしは木に話しかけてみた。こんにちは。今日はいいお天気ね。わたしは木を見上げてしばらく木の返事を待った。お日様がまぶしかった。その時、そよ風が吹いて、梢が揺れてさやさやと木の葉がこすれ合う音がした。これが、木のお返事かしら?わたしは嬉しくなった。わたしは木の幹に触れてみた。ごわごわとした木の肌をなでてみた。わたしは木の幹に耳をあてて木の言葉を聴こうとしたけれど、よく聴こえなかった。木は何を思っているのだろう?木と自由にお話ができたらいいのになあ。わたしは、木の言葉が聴きたい。物言わぬ者たちの言葉が聴きたい。
ISBN978-4-8120-2216-0
定価 本体2000円+税
発行日 2015年6月26日
詩集『水辺の寓話』
水野ひかる/著
あなたの見ているものは
山 池 家 街
たぶん風でもなく
空でもなく
その裡に秘めた
野望のようなもの
ISBN978-4-8120-2236-8
定価 本体2000円+税
発行日 2015年6月30日
詩集『海と散髪』
宮沢肇/著
生命のシンボルだった海がその日、
悪夢のように荒れる神の掌のなかで壊れた。
その日から、死んだ海を再び甦らせるために、
詩人はだれも通るひとのない一本道を歩き始める。
新しい物語の始まりを求めて、
原稿用紙の桝目にせっせと文字の種捲きをしながら。
ISBN978-4-8120-2222-1
定価 本体2500円+税
発行日 2015年6月30日
詩集『愛犬さくら』
竹原洋二/著
まことのみを
うたのよりどころとして
こころからうたおう
愛に生き
天寿を享受することなく
七歳半の
壮年のうちに
病いで
夢のように死んだ愛犬
さくらのために
ISBN978-4-8120-2232-0
定価 本体2000円+税
発行日 2015年6月30日
『詩と思想詩人集2015』
「詩と思想」編集委員会編
格差社会の中で、言葉の歪曲と空洞化が進んでいる。
歴史の転換点となる時代だからこそ、沈黙してはいられない。
記録と記憶を未来へと継承し、
詩を書くことの意味を問う一大アンソロジー!
ISBN978-4-8120-2239-9
定価 本体5000円+税
発行日 2015年8月31日
叢書〈社会 現実/変革〉13 詩集『数えきれない哀しみも見ずに』
郷司眞佐代/著
わたしはなにをしでかしたのか
金輪際だまされまいぞ
悔し涙はけっしてぬぐわない
固く握られた
こぶしの決意こそが希望だ
ISBN978-4-8120-2231-3
定価 本体1800円+税
発行日 2015年7月30日
詩集『そして現代』
植村勝明/著
箴言詩人としてかねて定評のある著者が、新たに開拓したジャンルがエッセイ詩だ。史記の時代の少子化対策や、低劣極まりなかった某ローマ皇帝の話など、現代と深く関わりながらラジカルに歴史を語る九篇の問題作を収める。
ISBN978-4-8120-2228-3
定価 本体1600円+税
発行日 2015年6月22日
詩集『自叙伝風 うた道をゆく』
岸本嘉名男/著
「摂津音頭」や「学園歌」の作詞者としてその名を知られる岸本嘉名男さんは、これまでずっと淀川や千里丘陵近くの家族や大学や地域の人びととのつながりを重んじてきた。
こんどの自叙伝風の『うた道をゆく』は喜寿の作者がいままで歩んできた道のりを振り返りながら、現在ではがんと闘い、さらに努力を重ねて歩いてきた姿が見える。戦後七〇年。飢餓世代の努力家が残してきた大きな足跡は意義深い。
有馬 敲・跋より
ISBN978-4-8120-2214-6
定価 本体2000円+税
発行日 2015年5月31日
詩集『to coda』
清野裕子/著
さくらを見に行こうよ
すぐ近くだから
何度誘っても
行かない むかし見たから
と繰り返す
母の中で咲いている
むかし見た桜
いっしょにいるのは誰だろう
ISBN978-4-8120-2224-5
定価 本体2000円+税
発行日 2015年4月15日
『四角い空と円い海と三角の日常』
谷部良一/著
過去からつづく
風の残骸にも馴れ
今日からつづく
星の搾り滓に揉まれ
ぼくの前頭葉の
関節あたりが
すこぶるかゆくて苦い
ISBN978-4-8120-2217-7
定価 本体2000円+税
発行日 2015年4月30日
詩集『シンメトリック・スメル』
秋葉信雄/著
垣間見た未来が
明日の延長であるとは
限らない
思い出した過去の先が
昨日であるとは
限らない
ISBN978-4-8120-2225-2
定価 本体2000円+税
発行日 2015年4月28日
詩集『谷神』
花井肖子/著
老子に曰く、「谷神不死(谷神は死なず)」と。
いのちの源である水が湧き出す場所に宿る谷神は、
母なる大地の象徴でもある。
「大谷」の名の残る団地に暮らす人々の生と死を、
谷神は今もひっそりと見守ってくれているのだろうか。
ISBN978-4-8120-2207-8
定価 本体2000円+税
発行日 2015年5月15日
詩集『海と暮色』
嵯峨潤三/著
生きているものは
あれも斯くありたい
これも斯くあるべきと
まるで物語をしているかのように
世界は停止していた
ISBN978-4-8120-2221-4
定価 本体2000円+税
発行日 2015年5月15日
詩集『遠い山の呼び声』
武西良和/著
「おおーい。」と山の畑から向かいの山に叫ぶ。
その声は、あちこちの山間に響いていって小さくなり、やがて消えていく。
あとには風が通り過ぎ、川の流れる音がするだけだ。
ISBN978-4-8120-2223-8
定価 本体2000円+税
発行日 2015年5月11日
詩集『羽を拾う』
田尻文子/著
「生きよ」
人はいつか、道で一枚の羽を拾う。それは〈さあ、ここから風を切って飛びなさい!〉と励ますかのよう。だが、もうしばらくは大地を踏みしめ、前を向いて歩いていきたい。問いつづける旅は今もまだ途上だから。
ISBN978-4-8120-2220-7
定価 本体2000円+税
発行日 2015年5月24日
詩集『少しゆっくり』
瀧本富佐恵/著
行く先に何があるの? 誰が待っているの?
せわしげな日々を愛車とともに駆け回ってきた。
そろそろのんびりしてもいい頃かしら。
せめて肩の力を抜いて、もっとゆっくり……。
さあ、春を迎えに今日はどこまで行こう?
ISBN978-4-8120-2215-3
定価 本体2000円+税
発行日 2015年5月31日
叢書〈社会 現実/変革〉12 詩集『カトマンズのバス』
後恵子/著
なんでも見てやろう!
世界を駆け巡り、激動する時代を旅してきた。
見ざる・聞かざる・言わざるにはなりたくないから。
ISBN978-4-8120-2218-4
定価 本体1800円+税
発行日 2015年6月15日
詩集『トゥバラーマを歌う』
飽浦敏/著
太陽や月や海が、こんなにも神々しく感じられるためには、敬虔で素朴で直ぐな心がなければかなわない。三線に合わせて作者の唄う古里(石垣島)へのトゥバラーマ(愛の唄)には、数限りない祖霊たちの唱和する声も聞こえて、現代人が失ったものの大きさに愕然とさせられる。
(以倉紘平)
ISBN978-4-8120-2226-9
定価 本体2000円+税
発行日 2015年6月21日