2023年6月22日更新
詩集『ことばはあなたのまえで』
大塚常樹/著
私のこころはひとつの楽器
自から鳴り出すこともあれば
誰かが鳴らすこともある
*
誰かの言葉に出会うため
誰かの言葉と共鳴したいため
ISBN978-4-8120-2748-6
定価 本体1500円+税
発行日 2023年2月20日
詩集『歴史/現実』
村椿四朗/著
二〇世紀の記憶を
もう忘れてもよいか、ぼくは
親族幻想、共同幻想、国家幻想を
二〇世紀を創造した独裁者よ
重石はもういらない
ISBN978-4-8120-2742-4
定価 本体2000円+税
発行日 2023年3月1日
詩集『八十路をうたう』
おだじろう/著
なぜ
詩をつくろうとするか
拡散した魂をなんとか
ひとまとめに括ろうとするためか
でないならば
生きる意味と足場をみつけだすためか
ISBN978-4-8120-2749-3
定価 本体2000円+税
発行日 2023年4月15日
詩集『スペード・ブラデオス』
金子智/著
「この棒を何があっても離すなよ」
父はきつく言う 父の仕草から言葉の意味を全身で受けとめた
父は バイクにまたがりエンジンをふかした
ISBN978-4-8120-2753-0
定価 本体2000円+税
発行日 2023年4月15日
詩集『瑠璃色の世界へ』
田中佑季明/著
限りない可能性を秘めた詩人が 今
旅立とうとしている!
もう 遅い アクセルを一杯
踏み込んでしまった 怠惰で倦怠な大地へ
今更 引き戻すことが できない
迷わず 邪念を 払拭して
前へ 前へ 進むしか 残された道はない
ISBN978-4-8120-2759-2
定価 本体2000円+税
発行日 2023年4月28日
詩集『刻の隙間から』
建入登美/著
木陰で お茶を飲んだり
話しあい 笑いあっていた わたしたちの
たくさんの 思い出までも
あのとき わたしは 切り捨ててしまったのだ
ISBN978-4-8120-2750-9
定価 本体2000円+税
発行日 2023年4月30日
詩集『おーい 老い』
鎮西貴信/著
起源の抽斗に
詩という潤滑油を差して
何とか出し入れしている
おーい
置いてけぼりは御免だよ
ISBN978-4-8120-2755-4
定価 本体2000円+税
発行日 2023年6月10日
詩集『花は曼荼羅の世界であった』
高橋次夫/著
ひかりのことばを ひとつ
ひそかに抱きとめて 花びらは
それぞれの位置に約束されている
秋いろの風に ほほ笑み返している
花びらの 完全円環
ISBN978-4-8120-2767-7
定価 本体2000円+税
発行日 2023年5月12日
詩集『菜の花の海の』
佐藤光江/著
野草たちはうつむくわたしに
手招きをする……芽吹いた草たちが
大空に両の手をひろげている……その素直さに
どれほどの勇気をもらい
どれほど背を押されてきたか……この庭があってわたしは生きる
ISBN978-4-8120-2746-2
定価 本体2000円+税
発行日 2023年5月10日
詩集『吹き抜ける風を』
伊藤康子/著
夜明けを待つ
空の明るみにともない
いつしか星の光は消え
月だけがやわらかく輝いている
ISBN978-4-8120-2752-3
定価 本体2000円+税
発行日 2023年4月15日
詩集『柔らかい水面』
深町秋乃/著
深町秋乃によって、世界は初めて光を得る。作者の透徹な視点は、たぐり寄せた暗部を直視し、やがて浮遊し液状化していく。その腐食した沈黙さえも紡ぐ姿が、これまで経験していた私達の日常へ、新たな光源を創り出すのだ。
(平川綾真智)
ISBN978-4-8120-2756-1
定価 本体2000円+税
発行日 2023年5月10日
詩集『夕暮れのおくりもの』
北村紀子/著
「今と、その向こうに潜んでいるもの」を生彩あふれる言葉のリズムでつなぐ。それが北村紀子の詩の仕事だ。人参も、ナメクジも、たかお君も、ひとしくリズムを与えられ賦活されて、大地的共生の輪の中へと入る。加えて、夕陽・夕焼けがそれに祝祭の彩りを添えている。ディストピア的現代をものともしない、なんという晴やかな空間だろう。
(野村喜和夫)
ISBN978-4-8120-2763-9
定価 本体2000円+税
発行日 2023年4月22日
新・日本現代詩文庫164『佐藤すぎ子詩集』
佐藤すぎ子/著
第三詩集『七月に降る雨』の「あとがき」では安曇野市在住の文筆家、柳裕氏に「毒のない詩はつまらない」、「毒を、毒を」と二十三年も言われ続け育てられたと記す。「毒杯がこわい私はなかなか毒をつくれない。」「毒とは、ある意味ではこの世のあらゆる不幸な出来事への鎮魂歌でもある」とし、八十五歳を越えた佐藤は、見事「毒」の生成に成功している。「毒」は、知らぬ間に効き目を現し、うっとり人を殺す。
(田中眞由美・解説より)
ISBN978-4-8120-2760-8
定価 本体1400円+税
発行日 2023年4月30日
詩集『あかね雲』
宮本苑生/著
この道は どこに続いているのだろう
城壁で守られていた 中世の町
大きな夕陽が臨める 港町
何世も前に 私が捨てられた街かも知れない
ISBN978-4-8120-2761-5
定価 本体2000円+税
発行日 2023年5月10日
[新]詩論・エッセイ文庫24『ふくいの戦後詩断章』
関章人/著
南信雄、岡崎純、小辻幸雄……著者の出会った詩人たちの詩への、鋭く踏み込んだ論考とその動向。私的回想、私記を交えながら、その詩人の本質に迫る分析は深く共感を呼ぶ。さらに郷里福井の先達中野重治と鈴子へのオマージュと考察を加え、「ふくい戦後詩」の全貌に迫る渾身の書。
ISBN978-4-8120-2770-7
定価 本体1400円+税
発行日 2023年5月30日
詩集『ら行の悲しみ』
松下美和子/著
先程太陽をたべてしまった
それから先 私の体の中では確実に細胞分裂が始まりだした
……………………
だから昨日もらった手紙は 嬉しくて悲しくて
今日買った靴は 楽しくて苦しくて
明日生まれる朝は 甘くて苦いのだ
ISBN978-4-8120-2766-0
定価 本体2000円+税
発行日 2023年4月8日
詩集『盗んだのは』
水野ひかる/著
散歩の途中に立ち寄った神社は、
思いも寄らぬ歴史に彩られていた。
一円玉をお供えする人の興味から始まったその境内には、
今へと続く不思議な時間が流れていた。
ISBN978-4-8120-2757-8
定価 本体2000円+税
発行日 2023年5月30日
詩集『ヴァージニア・ウルフのいる風景』
向井千代子/著
ウルフよ
今のあなたは
その内に秘めた
人に告げることあたわざる
苦しみから解放されたのか
あなたを狂気の淵に追い詰めた者たちへの
怒りから解放されたのか
ISBN978-4-8120-2776-9
定価 本体2000円+税
発行日 2023年6月10日
詩集『置き忘れてきた風景』
嵯峨潤三/著
渦巻く疑念と つのる不信
その先に かがやく街の光景はあるのか
あるいはもう 誰かの 旅立つものの俤
夢幻のなかから 呼びさまされるものは
死者の嗤いか
夢にさまよう つかのまの残影
ISBN978-4-8120-2765-3
定価 本体2000円+税
発行日 2023年5月30日
詩集『ポチがいた庭』
森真紀/著
見下ろせば
八階はがらんとして
人っ子ひとり
居ない
深夜のビルの中
いましがた
この階段を
おおぜいの賑やかな笑い声と足音が
たしかに
降りていったはずなのに
いま
この世界から消えているのは
降りていったあの人たち?
それとも
ぼく?
「行方不明」
ISBN978-4-8120-2769-1
定価 本体2000円+税
発行日 2023年5月30日