2023年8月30日更新  


詩集『忘れられた骨』
関口隆雄/著

足腰が弱り 寝ていることが多くなった 父
ある日 起きてきて
お茶を飲みながら ぼそりつぶやいた
「……戦争で誰も殺さなかった」
その顔は 穏やかで晴れ晴れとしていた
ほどなく 冬の夜 脳梗塞で倒れた
ISBN978-4-8120-2762-2
定価 本体1800円+税
発行日 2023年6月30日


詩集『花の紐解く折』
谷本州子/著

惜しげもなく 心を開いて
誰に対しても同じように
洗い立てのことばで応じてくれる花
明日も会いましょうと ハグしてくれる花
どの花も 惜しまれて散る
ISBN978-4-8120-2791-2
定価 本体2000円+税
発行日 2023年9月13日

詩集『歩行感覚』
鳥飼丈夫/著

地元の人に広場に出る道を聞いた
三人の人に聞いたが同じ説明は無かった
坂道の多い街では長く住んでいる人さえ道に迷う
今日も誰かが道に迷っている
広場にはついに出られなかった
ISBN978-4-8120-2783-7
定価 本体2000円+税
発行日 2023年8月20日


詩集『戯れ歌 愛と異郷』
広岡守穂/著

ぼくははじめて
大人の女性と
愛ではなくて
夢を語った
ISBN978-4-8120-2790-5
定価 本体2000円+税
発行日 2023年8月1日


詩集『虹と灰のクックブック』
加藤思何理/著

机の上に置き去りにされた一枚の紙片。
そこにぼくは緑のインクで詩を綴る。
だがその文字の連なりは
なぜか次からつぎに紙から起ちあがって
いま生きた花粉のごとく世界に飛び散ってゆく。
これは間違いなく病、
しかも重篤かつ愉快な病
には違いない。
ISBN978-4-8120-2775-2
定価 本体2000円+税
発行日 2023年7月20日


詩集『荒野の眼』
築山多門/著

鐘を鳴らそう
空を渡るさざ波のように
悲しみを乗せて
人の心に
人間の愚かさに
人間の心に潜む淋しさに
いまこそ
黙禱を捧げる時
ISBN978-4-8120-2782-0
定価 本体2000円+税
発行日 2023年8月7日


詩集『冬の夜空を見上げて』
塩田禎子/著

花水木通りの一本の木が
根もとから折れ 倒れている
夕べ吹き荒れた嵐のためだ
三月の観測史上 最大を記録したという
ISBN978-4-8120-2758-5
定価 本体2000円+税
発行日 2023年5月8日


詩集『オリオンと猫たちへのオード』
川島洋/著

きのう
千年というところへ行った
きのうから
へんてつもない
千年と一日が過ぎた
ISBN978-4-8120-2774-5
定価 本体2000円+税
発行日 2023年6月30日


評論集『日本の詩の諸相』
網谷厚子/著

人はなぜ詩を読み、ときに書きたくなるのか。全てのものが保存年限を定めてどんどん破棄されていく現代、大切なもの、後世に残すものが選別されていく厳しい時代にあって、「過去」から「現在」、「未来」へ連綿と続く豊かな詩歌の河の恩恵を大切にし、今語り継ぐ価値のあるもの、千年、あるいはそれ以上残すべきものを求めて、詩を愛する人々に、日本の詩の魅力の再発見を願う著者の最新の論考集成。
ISBN978-4-8120-2771-4
定価 本体2000円+税
発行日 2023年8月1日

詩集『母を宿している』
濱本久子/著

 どんな人も母を思わない者は、いないと思う。濱本久子さんは、二歳で実母との生き別れがあった。そのことに、こだわっている。
 現在、老人になっても、幼児期の遠い記憶があって、母との距離と離別が許しがたくあるのではないかと、私は思う。だから、母との愛憎の追求をしているのだ。
 濱本さんの作品には、きちんと整序された時制の流れのままに、形象されたビジョンがある。過去と現在を凝視して、子を残して他家に嫁いだ母との別れや思いを描いた。
(金子秀夫)
ISBN978-4-8120-2781-3
定価 本体2000円+税
発行日 2023年6月30日


詩集『朝の裏側へ』
今井好子/著

洗いすぎて 手は かさつき始めている
背後で 耳をゆする声がする
死んでしまった人の詩が 私を捜して
呼んでいる
ISBN978-4-8120-2764-6
定価 本体2000円+税
発行日 2023年6月30日


[新]詩論・エッセイ文庫26『生きることと詩の心』
佐相憲一/著

生きてあることは、本当は詩に満ちている
そして地球が詩を書いている
混沌として苦難の多い現代に、詩の心が灯る
多方面で活動する詩人・佐相憲一(1968~)
数ある講演、放送、対談、評論・エッセイから
詩想の根幹10本を収録
ISBN978-4-8120-2778-3
定価 本体1400円+税
発行日 2023年6月30日

詩集『忘れられぬ情景から』
尼崎總枝/著

今日は 正面 テラスの雲
あの光 隠した雲の 中 きっと
きっと 何か も一つ 有るはず
一人 一人の 花咲かせ
砂絵 描く雲のよう
思いを寄せて 見る人の
一人 一人の 宝箱
ISBN978-4-8120-2779-0
定価 本体2000円+税
発行日 2023年6月10日


詩集『心に耳をすませて』
仁田まゆき/著

遠くにいても
タフタフと 流れてくるまなざし
その変わらないまなざしで つながっている
どこか自らしばっていた
少しずつ 長くかかって ゆるくなる
ISBN978-4-8120-2768-4
定価 本体2000円+税
発行日 2023年6月30日


[新]詩論・エッセイ文庫25『われらにとって現代詩とはなにか』
村椿四朗/著

口語自由詩、現代詩、戦後詩と、次々と名称が変わっていった詩。その成り立ちから未来を見据える視点までを解き明かし、そして地方また農村と都市のあり方、コロナの時代を通過しての着地点を、木島始、黒田三郎、森崎和江、伊藤信一、松尾真由美、さらにビートルズ他の詩を解読し論じた、『詩人の現在』に続く渾身の詩論書。
ISBN978-4-8120-2795-0
定価 本体1400円+税
発行日 2023年8月10日


詩集『明けぐれの人』
風森さわ/著

明け方に会う人には
目覚めては決して会えない
おぼろげにそれかと見る間
寄る辺なき道に漂うままに
とけ入るように消えてしまう
ISBN978-4-8120-2777-6
定価 本体2000円+税
発行日 2023年6月30日


随筆集『百六歳 命の言魂』
田中志津/著

百六歳にしてなお、魂の迸るまま書き続ける、稀有の作家田中志津の、珠玉の随筆大成。故郷を語り、最愛の娘を語り、佐渡金山世界文化遺産登録の悲願を語り、また眷属の来し方行く末を、愛を込めて、思いを込めて語り、願う。そこにこそ人間の魂の根源が秘められている。その文章はどこまでも澄み切っていて、簡明で荘重でさえある。それゆえ容易に人の心に沁み入るのである。
ISBN978-4-8120-2780-6
定価 本体2000円+税
発行日 2023年7月6日


詩集『ルカの願い』
宮本早苗/著

大切なものは何か
それは草木の間を歩いていれば自ずと分かってくる
何を大切にすべきか
それは生まれ出ずるものを見ていれば自ずと照らし出されてくる
大切なものはすべて私たちの内側にあると
声なき声は教えてくれる
ISBN978-4-8120-2773-8
定価 本体1800円+税
発行日 2023年8月10日


『詩と思想詩人集2023』
詩と思想編集委員会/著

言葉は単なる伝達の手段ではない。
言葉は私たちの存在そのものであり、私たちは言葉の内に生きている。
詩人はこれを深く意識し、詩作品はその現実をはっきりと伝えてくれる。
50年ほど前、「詩と思想」に集った詩人たちは、その考えのもと、自らの編集による、特定の詩的傾向や思想信条に偏らぬ全国誌の発行を志した。
世界中で利欲により人間存在の価値が蔑ろにされているとき、言葉の真実とは何かを問う方々に、ひとつの契機としてこのアンソロジーをお届けする。
ISBN978-4-8120-2792-9
定価 本体5000円+税
発行日 2023年8月31日


詩集『文脈に立つ短剣符』
柴崎聰/著

十字架のように 墓標のように 不意に文脈に立つ短剣符(ダガー)
削ぎ落された言葉がその覚悟を潔くその鋭利な形に込める
世界は朝ごとに赦され 朝ごとに創出されるが
剣は器ではないから 永遠の命を盛ることはできない
せめて 溢れ出るものを血のように涙のように研ぎ澄ますことだ
ISBN978-4-8120-2789-9
定価 本体1400円+税
発行日 2023年8月7日